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JMCが大型CTスキャンサービスを開始、1m越えの大型スキャンにも対応可能

JMCのCT設備

株式会社JMC(以下、JMC)は、非破壊検査やリバースエンジニアリングを目的とした1m超の大型構造物を対象とするCTスキャンサービスを開始した。自動車や航空機のエンジンなど、大型部品の検査・測定を請け負う。

3Dプリント領域で用いられる「スキャニング」

3Dプリントは3Dデータという設計図を元に、実体を持つ構造物を作り上げる技術だが、その3Dデータを作成する方法は主に2つ。3DCADなどのデータ作成ソフトを用いて「描く」か、実物を「スキャンする」か、だ。CTは、後者の「スキャンする」に用いられることになる。

ここで、一概にスキャンするといっても様々な方法がある。広く用いられている方法としては、対象を固定して様々な角度から光を当て、反射光から物体の表面構造を確定させる方法だ。他にもAIや画像解析を用いる方法もある。

当サイトにおける過去の3Dスキャナ関連記事は以下を参照していただきたい。

CTスキャンによる造形物の非破壊検査やリバースエンジニアリング

上記のスキャン技術に対して、CT(Computed tomography:コンピュータ断層撮影)スキャンは、放射線などを走査して対象の内部構造を可視化する技術。医療用途に広く用いられ、がんなどの重大な病症の早期発見に役立てられている。近年では3Dプリンターと組み合わせて用いられるようにもなってきた。

画像やレーザー光を用いた3Dスキャンに比べて、CTスキャンはコストがかかるが、一方で、一度のスキャニングで、アンダー形状も正確に捉えることができ、精度が高いデータを作成することができ、内部構造を可視化することもできるというメリットを有する。

JMCのCT検査事業

JMCは3Dプリント受託事業から始まり、2006年にはエス・ケー・イーと合併して鋳造事業を開始。鋳造事業で培った検査技術からCT検査事業を立ち上げた。現在、CTスキャンによる年間検査数は6,000件を超える。

JMCが対応可能な産業用CTのサイズ領域(出典:JMC)

JMCでは低出力高精細なCTスキャナから高出力X線源まで幅広いCT機器を備え、0.1mm~1mまでの様々な対象を検査・測定してきた。しかし、近年では自動車や航空機部品における非破壊検査やリバースエンジニアリング(※1)において、1mを超えるサイズの物体を測定するニーズが高まりつつある。

こうしたニーズに応え、JMCでは新たに1mを超える対象でもCTスキャンを行うサービスを開始した。

公開された画像からは、X線が外部に漏れないようコンクリートで厳重に覆われている施設の様子や、実際の測定の様子が確認できる。産業用CTでは、透過X線強度データをフーリエ変換して実空間の密度分布を得る関係上、対象を全方位から測定する必要がある。医療用CTでは測定機器が人体の周りを回転する場合が多いが、JMCの大型CT測定装置は測定対象の方を回転させる方式のようだ。

JMCが導入した産業用CT装置
大型CT設備の外観(出典:JMC)
大型CT設備の外観と内観(出典:JMC)
大型CT設備の内観(出典:JMC)

【大型CT 設備スペック】
最大管電圧:450kV
最大スキャン範囲:φ3,400 x 3,400mm
最大サンプル重量:2t

(※1)リバースエンジニアリング:機械を分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査すること。

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