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MIT研究グループ、3Dプリンターを用いて小型真空ポンプ開発に成功

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、3Dプリンターを使用して作られた小型の真空ポンプの開発に成功した。この装置は、汚染物質の監視、遠隔地での医療診断、火星の土壌検査に役立つポータブル質量分析計の重要な構成部品として利用できる性能を持っている。(図は今回開発された真空ポンプ。出典: マサチューセッツ 工科大学

火星探査などで活用される小型の質量分析装置

質量分析計装置は、飲料水の安全性の評価から患者の血液中の毒素の検出まで、多くの用途に使用できる化学分析装置だ。基幹部品である真空ポンプの小型化が課題になるため、小型化の実現は難易度が高い。

小型の質量分析装置は、たとえば火星探査で土壌検査する際に必要となるだろうが、大型装置は打ち上げに巨額の費用が発生する。装置の小型化や現地製造できる目処がたてばこのコストを大きく削減できる。

そこでベラスケス・ガルシア氏率いるMIT の研究者グループは、複数材料を扱うことができる樹脂3Dプリンターで真空ポンプの小型化にチャレンジし、人間の拳ほどの大きさの真空ポンプの開発に成功した。

装置の小型化に必要なキーパーツを3Dプリンターで造形

質量分析計装置は、測定する物質の成分を測定するためにサンプルをイオン化させて質量を測定し、成分を特定する。空気などの異物が混入すると正確な測定ができないため計測時には真空状態を作り出す必要がある。

(下の写真は実際に造形された真空ポンプ。出典:マサチューセッツ工科大学

測定したいサンプルを搬送する柔軟なチューブを、周りに配置したローラーが回転しながらハウジングに押し付けることで、チューブ内を真空にするのが真空ポンプの仕組みだ。チューブとローラーの強度を上げ、造形が容易な樹脂3Dプリンターで造形できるようにすれば、装置の小型化も実現できる。

研究グループは、マルチマテリアル3Dプリンターを使用して、膨大な変形に耐えられる特殊な超弾性素材からフレキシブルチューブを作成した。チューブにノッチ形状(切り欠き)を持たせることで、圧縮されたときに材料にかかる応力を軽減し長寿命化に成功した。

3Dプリンターで造形すれば、チューブの厚さの変更にも対応できる上、チューブ全体を一体造形すれば空気漏れのリスクも軽減できる。

だが、実際の造形時には、3Dプリンターで造形する際のぐらつきを防ぐために、細くて柔軟なチューブを垂直に印刷したりサポート形状を工夫するなど、製造上の工夫も必要だったということで、簡単に製造できたわけではなかったようだ。試行錯誤の中で工法を確立したといえるだろう。こうした開発過程を経て、3Dプリンターでしか実現できない真空ポンプ開発を達成することができた。

「3Dプリンターならでは」の部品を何度も試行錯誤して短期開発

「3D プリントを使用する主な利点の1つは、積極的にプロトタイプを作成できることです。このような小型ポンプが大量に作られるクリーンルームでこの作業を行うと、多大な時間と費用がかかります。変更を加えたい場合は、プロセス全体をやり直す必要があります。この場合、ポンプを数時間で印刷でき、毎回新しいデザインにすることができます」と開発を指揮したMITのベラスケス・ガルシア氏は語っている。

この新しい設計の真空ポンプは、医療機器やセンサー、マイクロフルイディクスなど、さまざまな分野で革新的な応用が期待される。例えば、医療分野では、微小なポンプが医療デバイスの開発や人工臓器の設計に役立つ可能性がある。また、センサーなどの微細な流体制御や精密な操作が求められる装置にも応用できる可能性がある。

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