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プリプレグ製造においても3Dプリンターの活用が進む

イラン高分子石油化学研究所は3Dプリントを利用したプリプレグに関する論文を発表した。プリプレグ分野にも3Dプリンターの活用が進んでいる。

プリプレグとは

プリプレグ
プリプレグ(出典:三菱ケミカル)

構造部材に深く携わらない限り、「プリプレグ」という材料はあまり聞き馴染みがない言葉だ。

プリプレグはカーボン繊維やガラス繊維に樹脂を含浸させた複合材料を指す。一般には糸状のプリプレグを織物のように成形し、シート状にして販売されることが多い。

プリプレグはそのままの状態ではただの柔らかなシートだが、熱を加えると硬化する(逆に熱を加えると軟化するものもある)という特徴を有す。

この特徴を活かせば、飛行機胴体やゴルフクラブのシャフト、釣り竿など、曲面形状を有する構造部材の表面加工が可能だ。つまり、プリプレグシートを表面に貼り付けた状態で加熱し、表面形状に沿うようにシートを固めることができる。

硬化した後のプリプレグは、軽量かつ高強度で、内側の構造部材を保護する。

繊維材料と含浸させる樹脂材料の組み合わせによって様々な特性を付与できることもプリプレグの特徴だ。例えば、カーボン繊維を用いた場合には、カーボン繊維の高い導電性を受け継ぐが、金属ではないので腐食に強い。

プリプレグに関する研究は現在も精力的に進められており、様々な材料や製造プロセスの工夫が為されている。

3Dプリンター活用の利点と課題

3Dプリンターを利用したプリプレグ作製を説明した図
3Dプリンターを利用したプリプレグ作製の様子(出典:ブリストル大学)

このプリプレグ分野でも、近年3Dプリンターの利用が検討されている。3Dプリンターのヘッドからプリプレグ原料を吐出し、積層方式でシート状に成形する、というものだ。

プリプレグ製造に3Dプリンターを活用する利点としては以下のようなことが挙げられる。

まず、連続生産ができ、(将来的な)生産性の向上が可能だ。

また、補強材を挟み込めるという利点もある。3Dプリンターで吐出する材料を都度コントロールすれば、欲しい場所に欲しい補強材を配置でき、構造的に弱い箇所の強度を補強可能だ。

そして、ボイド(空隙)を減らせる。通常のプリプレグでは糸を織ってシートを作るため、どうしてもシートの中に隙間が生まれてしまう。3Dプリンターであれば内部構造を細かく制御できるため、ボイドを極小にすることが可能だ。これも高強度化に繋がる。

プリプレグにおける3Dプリンターの活用の課題は、構造や材料の組み合わせに関する知見が少ないことだ。

プリプレグは、それぞれ単体(繊維のみ、もしくは、樹脂のみ)の状態の特性から大きく乖離する。ミクロな空間的特徴が、バルクとしてのプリプレグの特性を支配するのだ。

こうした知見の集積なしに、3Dプリンターの活用を広げることは難しい。

ガラス繊維/ABS強化樹脂の3Dプリンテッドプリプレグ

上記のような背景の下、イラン高分子石油化学研究所の研究チームは、3Dプリンターを用いて、ガラス繊維/ABS強化樹脂の組み合わせのプリプレグを作製、機械特性について評価する内容の論文を発表した。

本研究の目的は、材料の配合率が機械特性に与える影響を調査することである。様々な配合率でプリプレグを作製し、引張試験や曲げ試験を実施した。

さらには、有限要素法に基づく数値シミュレーションによってプリプレグの評価結果を考察している。弾性率の実験値と数値モデルによる予測値の間の偏差は14%であり、優れた強度予測モデルを構築できたことが示された。

今回の結果は、3Dプリンターを用いたプリプレグ製造における設計指針を与えるものだ。今後、この分野でも3Dプリンター活用を後押しするものとなるだろう。

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