JMCがEOSと樹脂3Dプリンターの販売代理店契約を締結
JMCがEOSの樹脂3Dプリンター装置販売で新規開拓と買替需要発掘に着手
東証グロースに上場する神奈川県のサービスビューロ JMC株式会社は、金属・樹脂の3Dプリンターの装置製造を行う世界的なメーカーであるEOS GmbH Electro Optical Systemsと代理店契約を締結し、樹脂3Dプリンター装置及びその付属製品を日本国内で販売に取り組むと発表した。
・ EOS社製 樹脂3Dプリンターの日本国内での販売
・ EOS社製 樹脂3Dプリンターに関する周辺装置・専用材料の販売
・ EOS社製 樹脂3Dプリンターに関する保守サービスの提供
EOSは樹脂3Dプリンターと金属3Dプリンターに両方を扱っているが、JMCは樹脂3Dプリンターのみの販売を行うようだ。金属3Dプリンターに関しては、NTTデータ ザムテクノロジーズが従来通り販売を行う。EOS、NTTデータザムテクノロジーズ、JMCの三社はそれぞれが連携し、樹脂部品の量産対応を行うという発表を2021年1月にも行っていた。今回の取り組みはその内容が深化したものととらえることができるだろう。
培った装置比較の知見、現場ノウハウが装置販売に活かせるかがカギ
JMCは1999年から3Dプリンティング事業に取り組んでいる老舗のサービスビューロだ。鋳造や高精度な3Dスキャナによる検査サービスなども行う一方で、光造形を中心にクイックな造形に対応できるサービスビューロ事業、そのノウハウを活かした、3Dプリンターや検査装置の販売も手掛けてきた。2020年5月にEOS社の最新樹脂3Dプリンター「EOS P 396」を導入し実際に製造に活用するなど、最新装置への取り組みにも積極的な他、より大きな市場創出を狙い、2021年9月に、八十島プロシード株式会社、原田車両設計株式会社との協業プロジェクト「3D innovation HUB」を開始するなど、非常にアクティブな活動を続けてきた。(この狙いに関しては以前取り上げた渡邉社長へのインタヴュー記事に詳しい)
EOSの製造販売するハイエンド機種は数千万円クラス。費用も決して安くない上に、3Dプリンターでただ造形するだけではなく、製造時のトレーサビリティの確保のためのインプロセスモニタリングやMESとの連携など、高度な管理システムとのインテグレーションも伴う。実際の製造業務で触っているからこそわかる肌感覚や、何が必要か、実際どうなのかという現場感覚と、最先端の技術動向、装置操作への知見がなければ、顧客の支持を得ることは難しい分野といえるだろう。
そんな中、JMCが実践の中で培った、装置ごとの特徴比較や造形相談、工法提案をワンストップで行うサービスの提案は、非常に説得力が出てくるはずだ。これまでの日銭を着実に稼ぐ受託製造と大きな売上金額を狙える装置販売を行うことで、成長を図るJMCの狙いは、同社の成長スピードを大きく加速するかもしれない。
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2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。