ポルシェ・デザインがプーマと共同で3Dプリンター製スニーカーを発売
自動車メーカーポルシェAG傘下のポルシェ・デザインが、スポーツブランドのプーマと共同でミッドソールを3Dプリントで作製したスニーカー「3D MTRX TRAINERS」の販売を開始。3Dプリントされた格子状のミッドソールは、ポルシェ・デザインのロゴをモチーフとしている。
(画像はミッドソールが3Dプリントされた「3D MTRX TRAINERS」/出典:ポルシェ・デザイン社)
複雑なミッドソール構造は3Dプリンター製ならでは
複雑な格子状のミッドソールの構造は、3Dプリンターで作製するからこそ実現できたものだ。3Dプリンターを使用することで、ミッドソールは引き裂きへの抵抗・柔軟性・機械的強度の面で優れたものになった。ユーザーが歩行するたびに発生する靴底への垂直方向へのエネルギーは、前方への水平移動へのエネルギーに最大83%まで変換できるとしている。ソールは実験室のテストで100万回以上の圧縮サイクルに耐えたとし、両社によると、特に都市の舗装路との親和性が高いようだ。
ミッドソールにはポリウレタン熱可塑性エラストマー(TPE)を使用
「3D MTRX TRAINERS」のミッドソール素材にはTPE(サーモプラスチックエラストマー)が使われている。TPEはゴムのような弾性を持ち、熱を加えると溶け、冷やすと固まる性質がある柔らかいプラスチック素材のことをいう。リサイクルが可能で環境にも優しい点が特徴だ。このTPEを使用することで、引き裂きへの抵抗、柔軟性、機械的強度の面で優れたものになったようだ。
価格は350USドル(記事公開当時)。残念ながら公式サイトによると配送は欧米エリアのみの模様。
スニーカー業界でTPEを3Dプリント素材として使用した例に、一部ではなくすべてが3Dプリンターで作られたスリッポン「Cryptide」がある。こちらは一般発売されたものではないが、3Dプリンターで作製することで独創的なデザインを実現している。過去にShareLab NEWSで取り上げたこちらの記事も、ぜひご覧いただきたい。
自由なデザインを可能にする3Dプリンターを用いて靴底や靴そのものを作製することは、現代において決して新しいものではない。しかし、3Dプリント技術は製品のカスタマイズ性の点で、市場で非常に人気がある。世界の3Dプリントフットウェア市場は成長を続けており、2022年から2027年の間に20%近い成長率が見込まれているともされる。
今回の「3D MTRX TRAINERS」のように3Dプリンターで作製されたスニーカーが、一般に販売されるケースもますます増えてくるだろう。
3Dプリントシューズの関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から、3Dプリントシューズにフォーカスしたものを3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。