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独デザイナーが、すべて3Dプリンターでつくられたスリッポン「Cryptide」を発表

ドイツ人のデザイナー兼建築家のStephan Henrich氏は、UMA(未確認動物)の足をモチーフにしたユニークなデザインの靴を3Dプリンターで開発した。以前もShareLabではすべて3Dプリンターでつくられたスニーカーをご紹介しているが、今回はなんといってもその独創的なデザイン性の高さが注目だ。

そのデザイン背景と、使用された3Dプリンターや材料についてご紹介する。

3Dプリントされたスリッポン「Cryptide」出典:Sintratec
3Dプリントされたスリッポン「Cryptide」出典:Sintratec

3Dプリントスリッポン「Cryptide」とは

スリッポンの名称となった「Cryptide」はビッグフットやネッシーといったUMAを意味する単語。爪のような形状のスリッポンはそれらUMAの足をモチーフにしているという。デザイナーのStephan Henrich氏は、ビッグフットやネッシーといったCryptideが地面に対して痕跡を残すように、着用者が足あとを残すことができることをイメージしたようだ。

3DプリントターはSINTRATEC社製「S2」が採用

Cryptideは、スイスの3DプリンターメーカーSINTRATEC社の「S2」というモデルによってすべて3Dプリンターで製造されている。

S2はSLS方式の3Dプリンターだ。これは粉末状の素材にレーザーを照射して焼結させる方式の3Dプリンターで、高精細かつ耐久性のある造形物を製作できるのが特徴だ。

≫ SLS方式含む、粉末床溶融結合法 / PBF(Powder Bed Fusion)についてはコチラ

S2は今回の3Dスニーカー以外にも、 メルセデス・ベンツ・グループのダイムラー社によるバスやトラックのスペアパーツの3Dプリントや、チューリッヒ工科大学の学生チームによる電動オートバイの設計など、自動車関連のアプリケーションで広く採用されている。

3Dプリントされた靴「Cryptide」出典:Sintratec
3Dプリントされた靴「Cryptide」出典:Sintratec

今回の3Dスリッポン「Cryptide」をプリントする素材にはTPE(サーモプラスチックエラストマー)が使われている。TPEはゴムのような弾性を持ち、熱を加えると溶け、冷やすと固まる性質がある柔らかいプラスチック素材だ。リサイクルが可能で環境にも優しい。

その他、樹脂材料について知りたい方はコチラ

Cryptideは部分によって厚みを変えることで、特定の部分は硬く、他の部分は柔らかいままであるという。さらに、スキャンした個人の足に合わせた造形が可能で、履くと5本指がピッタリとフィットするようになっている。人間工学に基づいた形状にすることで、快適な履き心地も実現したそうだ。デザイナーのHenrich氏は「TPEは、シューズをデザインするのに最適な素材だと思います」と述べている。

Cryptideは新たな形状の3Dプリントシューズとして公開された。しかし今後一般購入が可能になるかは不明だ。

世界的に活発化する3Dプリントスニーカー事例

注目を集める3Dプリントスリッポンだが、3Dプリンター技術がスニーカーに応用される例は近年増加傾向にある。

これまでアディダス、ニューバランス、ナイキの各シューズブランドから、シューズの一部が3Dプリンターによって作製されたスニーカーが開発されている。東京オリンピック2020では、ミッドソールが3Dプリントされたアディダスのランニングシューズ「4DFWD」を出場選手が着用したことが話題になった。

アディダスの3Dプリンター活用については以前ShareLabNEWSでも詳しく取り上げているので、ぜひ参照してほしい。

冒頭にもご紹介したが、すべてのパーツが3Dプリンターで作成された世界初のスニーカーとして話題を呼んだ「HERON01」は、ファションデザイナーとアメリカのテック企業の協業で開発されている。

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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