NTUシンガポールとパナソニックが新たなマルチマテリアルプリンターを開発
シンガポール南洋理工大学 （NTU シンガポール）、パナソニック ファクトリー ソリューションズ アジア パシフィック Pte. Ltd. Ltd. （パナソニック）、およびシンガポール 3D プリンティング センター （SC3DP）の共同研究チームが、スマートデバイスを3Dプリント製造できる新しいマルチマテリアルプリンターを開発した。画像はNTUシンガポールとパナソニックの共同研究チーム（出典： シンガポール南洋理工大学 ）
グラフェン材料を造形できるマルチマテリアル3Dプリンターの開発
NTU-Panasonic共同研究チームは、新しいマルチマテリアルプリンターを開発するため産業大学院プログラム（IPP） に基づくシンガポール経済開発委員会（EDB）の支援を受けて2016年に開始された。この2023年までの7年間でプロジェクトチームは11本の論文を発表し、2件の特許を申請し、11の国際会議で発表している。
この研究チームが開発したマルチマテリアル3Dプリンターは、さまざまな波長のレーザーを利用して熱反応と化学反応を起こすことで、ポリイミドや酸化グラフェンといった炭素ベース材料を新しいタイプの高多孔質グラフェンに加工する。この新しいグラフェンで印刷された構造は、軽くて導電性があるだけでなく、プラスチック、ガラス、金、布などのフレキシブル基板上に印刷またはコーティングして、フレキシブルデバイスを作成できる。
プロジェクトの共同リーダーであるNTU 機械航空宇宙工学科（MAE）准教授のムルケシャン・ヴァダッケ・マーサム 氏は、「私たちのプロジェクトは、有機ポリマーやグラフェンなどの炭素ベースの材料などの新しい材料を3Dプリントする方法を見つけることを目的としています。これらの材料は、印刷やコーティングが可能な特性を持っています。」プラスチックや布地などのフレキシブル基板上に実装し、フレキシブルで伸縮可能な回路を作成します」と語っている。
従来、電子デバイスやコンポーネントでは金属・シリコン・セラミックなどの硬い材料を加工した部品で構成されてきたが、曲げたり、ねじったり、さまざまな表面に容易に適合できる材料があれば、柔軟性のあるウェアラブル電子デバイスが製造可能になる。
3Dプリントされたフレキシブル エレクトロニクスは、より軽量で小型化できるため、より快適でモバイルなウェアラブル デバイスへの道を開く。従来のリジッドエレクトロニクスでは以前は不可能だったユニークな構造を作成できるようになったようだ。
スマート点滴バッグ用の3Dプリントセンサーなどで活用
新しく作成された3Dプリンターは、すでにアメリカの多国籍メーカーを含むさまざまな企業から関心を集めている。その一例がJABIL-MTI ペナンの取り組もうとしているスマート点滴バッグだ。すでに概念実証（PoC）は、人工知能を活用した埋め込み印刷センサーを備えた低コストの静脈内 輸液バッグのプロトタイプを製作検証することで実証されている。このデバイスは点滴の状態を監視し、圧力流量や温度などのパラメータを計測でき、リアルタイムでスマートフォンに送信できる。医療従事者は遠隔から効率的に監視、制御、異常を検出できるようになるわけだ。
研究チームはまた、NAMIC からの資金援助を受けて、圧力センサーやヒーターなどの高性能電子機器の製造に 3D プリントされたコンポーネントを組み込む可能性もテストしている。
次のステップとして、パナソニックは、シンガポールの研究拠点にレーザーベースの製造システムの新しい施設を設置しており、近未来の工場のあるべき姿を追求していくという。画像はJABIL-MTI ペナン スマート輸液システムのプロトタイプ（出典：NTUシンガポール）
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