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AMによる軽量化、AMGTAが初の研究論文を発表

航空機のブラケットで既存工法とAM工法を比較

The Additive Manufacturer Green Trade Association(以下、AMGTA)は 2019 年に発足した世界経済全体でアディティブ マニュファクチャリングの環境上の利点を考えていく取り組みを行っている独立系団体である。設計や原材料から最終製品やユーザーに至る製造範囲を見据えながら、AM製造のベスト プラクティスの研究を通じて、持続可能で、経済的に有利な製品開発を提言していく活動を行っており、23年4月11日に独立した初の研究論文「Comparative LCA of a Low-Pressure Turbine (LPT) Bracket by Two Manufacturing Methods」を発表した。(画像は、AM で設計・製造したブラケット (左) と従来品の比較。写真出典: businesswire)

AM製造がサステナブルな工法かを既存工法と比較

同論文はAMGTAの委託によりRochester Institute of Technology Golisano Institute of Sustainabilityが執筆をした。旅客機であるボーイング 767のタービンエンジンのブラケットを題材に、従来工法で製造した場合とDfAMを駆使してAM製造した場合を比較している。

AMGTA のエグゼクティブ ディレクターであるSherri Monroe氏は、「AMGTAとして初めて、従来工法と比較した場合のアディティブ マニュファクチャリングにおける設計の重要性を示す具体的な結果を公開することができました。この研究は、AMが将来の航空機とエンジンの設計に非常に現実的な影響を与える可能性があることを示しており、他の業界やプログラムで同様の戦略を使用する先触れとなるでしょう」と成果を語った。

比較検討されたのは、ボーイング 767 航空機に動力を供給する GE Aviation製 CF6-80C2B6Fタービンエンジンのブラケット。エンジンの低圧タービンモジュールの外部ケースに燃料マニホールドを固定するために使われているものだ。従来の部品は、テネシー州に本拠を置く機械工場で切削工法で製造されていたが、DfAMに基づく設計変更と製造を、フロリダ州ハリウッドに拠点を置く Sintavia, LLCが行った。材料にはHöganäs社の AB Inconel 718 粉末が利用され、製造にはEOS GmbH M290プリンターが利用されたという。

最適化された AM ブラケットは、CNCでの削り出しで製造した従来品に比べ50%以上 (0.063 kg)軽量で、機械的特性の点で従来のブラケットよりも優れていたと、製造にあたったSintavia, LLCは報告している。

同論文はAMGTAのレポートダウンロードより閲覧することが可能。
>>https://amgta.org/additive-sustainability/

部品の軽量化に貢献するAM工法

今回のブラケットのAM製造は、軽量化が重要な性能である航空機エンジンで活用できるかを検証する取り組みだった。この成果は、航空機製造者やエンジン製造業者によってはるかに広く採用される可能性があると考えている。この積層造形技術を使用した輸送の軽量化方法はPBF方式の3Dプリンターだけに限定された話ではなく、バインダー ジェッティング方式、DED方式の方式、樹脂造形でも同様に実現できる成果だ。車両、航空機、船舶の軽量化での活用が期待できるとAMGTAは報告している。

「AMによる航空機部品の軽量化ほど、炭素排出量に直接的な影響を与える現在実行可能な商用技術は他にありません。ボーイング、GE、および業界のすべてのOEMと協力して、既存および将来のプラットフォーム全体で AM の持続可能な可能性を解き放つことを楽しみにしています」と語るのは、SintaviaのCEOでAMGTA 議長を務める Brian Neff 氏だ。AM製造が環境負荷を低減し、製造プロセスのサステナビリティ化を可能にするとアピールする。

生産活動の環境負荷の低減とオンデマンド生産の利点を組み合わせることで、持続可能なサプライチェーンを実現できることもあって、今後も注目を集める取り組みとなりそうだ。

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