3Dプリント部品が「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載 ― 三井化学社
三井化学社の3Dプリント部品とその子会社であるアーク社が共同開発した「TAFNEX®CF/PP」が、TOYOTA FORTUNERをベースにした高機能コンセプトカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載された。バンコクオートサロン2024およびバーンセングランプリ2024で展示される。(上部画像は「TAFNEX®CF/PP」および3Dプリント部品が搭載された「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」出典:三井化学社)
目次
「TAFNEX®CF/PP」の特徴
三井化学社とその子会社であるアーク社は、持続可能なモビリティソリューションを目指して、新素材「TAFNEX®CF/PP」と3Dプリント部品を開発。自動車分野における軽量化と高機能化を推進することが目的である。「TAFNEX®CF/PP」は、軽量でありながら高い剛性を持つ一方向性テープで、炭素繊維強化ポリプロピレン(CF/PP)を使用しており、その優れた物性により、自動車の構造部材として理想的な素材である。また、リサイクルが容易であるため、環境負荷を低減することができる。
「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」の3Dプリント部品
「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」は、TCD-Aのモータースポーツ事業で培った走破性能と空力性能を基にしたスタイリングデザインを採用した高機能コンセプトモデルである。新素材を活用することで、さらなる軽量化を実現した。スポーツシートを4座配置することで、2シーターでは味わえない新しい楽しみ方を提供する。
「TAFNEX®CF/PP」は、今回、フードエアダクトやフロントバンパーの一部に加飾部品として使用されている。ダイレクトペレット式3Dプリント部品は、フードエアダクトのベゼル(枠)部品に搭載されている。
ダイレクトペレット式3Dプリント部品
三井化学は、2020年にドリームスデザイン株式会社と提携し、2023年には株式会社ExtraBoldへの出資および業務提携を開始。両社の技術と三井化学の素材技術を融合させた新たな3Dプリント部品が誕生する。
今回のプロジェクトで実現した3Dプリント部品は、ドリームスデザインの高度な車両部品設計技術、ExtraBoldの大型高速造形が可能な3Dプリンター「EXF-12」、そして業界最大手のアークによる造形・後加工技術を活用したもので、さらに三井化学が開発した3Dプリント向けポリオレフィン系コンポジットも使用されている。
ダイレクトペレット式3Dプリンターは、射出成形の技術を応用して樹脂ペレットから直接造形する。従来の3Dプリンターに比べて樹脂の吐出量を安定的に増加させ、大型造形物を高速で造形できるのが特徴だ。3Dプリントを用いた多品種少量生産の型レス工法は、開発期間の短縮や初期投資の削減にも大きく貢献し、造形物を粉砕してペレットに戻すことで、3Dプリンターの造形原料として再利用することができるため、サーキュラーエコノミーの実現にも寄与する。
「バンコクオートサロン2024」「バーンセングランプリ2024」
「TAFNEX®CF/PP」と3Dプリント部品を搭載した「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」は、「バンコクオートサロン2024」および「バーンセングランプリ2024」で展示される。両イベントは、自動車業界の最新技術とトレンドを紹介する場として、国内外から多くの注目を集める。
「バンコクオートサロン2024」は、タイ最大級のカスタムカーと改造車の展示イベントである。バンコクのインパクトムアントーンターニで開催される。最新の自動車技術、カスタムカー、アフターマーケットパーツが展示され、多くの自動車愛好家や専門家が集まる。日本の東京オートサロンとの連携も特徴で、世界中のトレンドや技術を一堂に会して紹介する。
「バーンセングランプリ2024」は、タイのチョンブリ県にあるバーンセン市街地コースで開催される自動車レースイベントである。国内外のトップドライバーが集結し、市街地コースならではの迫力あるレースが特徴で、スリリングなバトルが繰り広げられる。観客には多彩なエンターテインメントやグルメも提供され、レースと共に楽しめるイベントである。
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