清水建設、材料噴射型3Dプリンティング技術で施工効率を革新
清水建設(東京都中央区)は、自社で開発した材料噴射型3Dプリンティング技術を実際の工事で初めて適用し、施工期間を約4割短縮する成果を上げた。この技術は工期短縮のみならず、建設業界における持続可能性や生産性向上への貢献も期待されている。(上部画像は材料噴射型3Dプリンティングのようす。出典:清水建設)
清水建設の挑戦「3Dプリンティング技術の実用化」
清水建設の独自の材料噴射型3Dプリンティング技術は、建設業界の持続可能性と生産性向上を目指し開発したという。この技術は、従来の建設プロセスにおける人手依存の工程を大幅に効率化することを目指している。特に、部材の複雑形状への対応や製造プロセスの自動化が可能となり、工期の短縮とコスト削減が実現されるため、同社が抱える長期的な課題に対する解決策であり、建設業界全体のイノベーションを牽引することを視野に入れている。新しい技術を実用化するためには、現場での実証試験やデータ蓄積が必要不可欠であり、清水建設は積極的にこれらに取り組んでいる。
初適用プロジェクトの概要
この材料噴射型3Dプリンティング技術は東京都内のあるプロジェクトで初めて実際に適用。このプロジェクトでは、特に複雑形状のコンクリート構造物の施工に活用され、従来手法では困難であった形状の再現が精密かつ効率的に行われ、設計データを基に専用の機械が現場で直接部材を形成し、施工工程を大幅に簡略化した。これにより、工期の短縮だけでなく、人件費の削減と廃棄物の発生抑制も実現され、同技術の実用性を示す大きな一歩となった。
成果と施工への影響
今回のプロジェクトにおける最大の成果は、施工期間の約4割短縮である。従来の工法では、手作業や複数工程が必要であった部分が、3Dプリンティング技術の導入によって効率化され、人員配置の最適化を可能にし、現場での労働負荷を軽減した点も注目に値する。さらに、材料の無駄を最小限に抑えることができ、環境負荷低減にも寄与した。このような効果は、単なるコスト削減にとどまらず、建設業界の課題である持続可能性や人手不足解消にもつながるものである。
建設業界における3Dプリンティング技術の将来性
材料噴射型3Dプリンティング技術は、建設業界に革命をもたらす可能性を秘めている。この技術は、従来の建設手法では困難だった自由なデザインの実現や、オンデマンドでの部材製造を可能にすることで、設計の自由度を大幅に向上させる。また、物流の負担軽減や現場での迅速な施工が期待され、建築分野だけでなく、土木やインフラ整備、災害対応など幅広い分野での活用も視野に入っている。ただし、技術のさらなる普及には、品質管理基準の確立やコスト面での課題解決が求められる。清水建設はこれらの課題に対応しつつ、業界をリードする存在であり続ける。
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