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英ケンブリッジ大学がコンクリート3Dプリントプロジェクトの開発を支援

実際に3Dプリントで造形された「ヘッドウォール」

イギリスのケンブリッジ大学とNational Highways社などが参画する合同プロジェクトにおいて、国道に用いられるコンクリートの建造物にセンサーなどを埋め込んだ3Dプリントプロジェクトに取り組んでいる。(上部画像は実際に3Dプリントで造形されたコンクリートの壁。出典:ケンブリッジ大学)

自由な形状でも強度を実現するアプローチ

最初の取り組みは、暗渠やトンネルに用いられる「ヘッドウォール」と呼ばれる箇所の施工が選ばれた。「ヘッドウォール」の構造は一般的にプレキャストコンクリートで作られており、大規模な鉄筋補強を利用し形状は限られていた。

今回のプロジェクトでは土木用3Dプリンターを利用。大規模な鉄筋補強を使わずに、湾曲した形状でも強度を維持する構築だ。その際の強度は鉄筋からではなく、3Dプリントの幾何学形状から得られるという。

わずか1時間ほどでプリントされた壁は、高さ約2メートル、幅約3.5メートルだ。グロスターシャーにある先進的エンジニアリング会社Versarienの本社で、ロボットアームベースのコンクリートプリンターを使用して印刷された。3Dプリントを使用して壁を作成すると、コストや二酸化炭素排出量が大幅に削減できる。

センサーを内蔵したスマートな壁を3Dプリントで製造

また、3Dプリントした壁の性能を確保するために、ケンブリッジ大学の研究者は壁の中にさまざまなセンサーを埋め込んだ。これらのセンサーは、温度・湿度・圧力・ひずみ・電気抵抗・電気化学電位などさまざまな要素を監視する。リアルタイムでデータを収集することで、異常や潜在的な問題を早期に検出し、タイムリーな介入とメンテナンスを可能にするという。

3Dプリントされるセンサーが内蔵されたコンクリート構造物
3Dプリントされるセンサーが内蔵されたコンクリート構造物(出典:ケンブリッジ大学)

また、センサー技術に加えて、3Dプリント中に壁の詳細なデジタルツインを生成した。これにより構造物の現状を包括的に理解できるようになり、より適切な分析と意思決定が容易になる。高度なセンサーとデジタルツインの組み合わせにより、壁自体のステータスがより分かりやすくなる。

世界で進む建築土木分野でのDX推進

ケンブリッジ大学を中心とした推進プロジェクトチーム。スマートマテリアルなどの専門家も参
ケンブリッジ大学を中心とした推進プロジェクトチーム。スマートマテリアルなどの専門家も参画(出典:ケンブリッジ大学)

この取り組みは、今後の高速道路業界内でのイノベーションの発展を形作るために、立ち上げからわずか数ヶ月後に行われた。実際に利用されている国道でこうしたプロジェクトが推進されているように、3Dプリンターというハード面以外にも、設計や具体的な用途といったソフト面での研究知見は蓄積が進んでいる。センサー等で構造物の内部状況をモニタリングすることができるようになると、定期的な点検に対する作業負荷もさがることが期待できる上、劣化の傾向から改修工事も計画しやすくなる。

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