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「AddUp社FormUp350見学会」に参加して見えた【量産のための金属3Dプリンター】その独特な技術と進化

2024年5月22日に株式会社立花エレテックが日本ミシュランタイヤ株式会社(群馬県太田市)にて「AddUp社 金属積層造形装置 FormUp350見学会」を開催し、近県または遠方から参加された製造関連企業の皆様と共にシェアラボからは丸岡が参加した。そこから見えたのは、初めから実使用品量産のために開発された金属3Dプリンターシステムとソフトウェアに込められた独特な技術と進化であった。(全写真は許可を得て撮影)

見学会の主な内容と要点

見学会は日本ミシュランタイヤ本社にある、ミーティングルームと金属積層造形技術の拠点となる「ミシュラン AMアトリエ」(参考:シェアラボでの開所式のニュース)にて開催された。まずこの機会を与えていただいた立花エレテックと日本ミシュランタイヤの皆様、参加をされた皆様にこの場を借りて感謝の意をお伝えしたい。以下に見学会での講演の主な内容と要点をお伝えする。

開会挨拶・立花エレテック会社紹介

立花エレテックは2021年9月で創業100年を迎えた電機・電子技術商社で、従業員の約1/4が技術者。FAシステム事業、半導体デバイス事業を主とし、産業メカトロニクス事業部にてAM関連事業としてAddUp社を含めた各社金属・樹脂3Dプリンター、3Dスキャナー、設計・品質管理支援ツールなどを販売。2014年より現在の一般社団法人 日本AM協会の前身である「3Dものづくり普及促進会」や「Kansai-3Dプロジェクト」などの設立運営を通じ、日本のAM普及促進に積極的に尽力。強みとしてはAMと産業メカトロニクスを組み合わせたソリューション提供ができる。また日本AM協会の活動とは別に、定例セミナーや特別イベントを独自で企画し定期的に開催している。

日本ミシュランタイヤ会社紹介 AddUp社 FormUp350 製品紹介

日本ミシュランタイヤ株式会社 研究開発本部 新規事業部 AM事業マネージャー バボ ジャック 氏

日本ミシュランタイヤはフランス クレルモン=フェランに本社を置く世界的なタイヤメーカー ミシュランの日本法人。ミシュラングループのパーパスは「全ての人にA BETTER WAY FORWARDを」。「すべてを持続可能に」をビジョンに、人・地球・利益の三方よしで三つの事業分野、「タイヤと共に」「タイヤ関連で」と「タイヤを超越して」を推進する。そして「タイヤを超越して」の中に金属AM事業がある。

2006年から市販金属3Dプリンターを導入し活用研究を続けた。タイヤのトレッドパターンを成形する金型は、薄肉複雑形状のラメラと呼ばれるパーツを多数製造して作られ、従来はプレス、放電加工、溶接など12工程が必要だったが、AM製造によりわずか4工程となった。

その後幅広い量産のニーズに応えるため、2016年にミシュランとフランスの工業エンジニアリング企業Fives社との合弁でAddUp社を設立。

2021年に金属L-PBF(レーザー粉末床溶融結合法)3Dプリンター「FormUp350」の次世代最新機種を発売(詳細仕様含め参考:シェアラボでのニュース)。2022年に日本の「ミシュランAMアトリエ」にFormUp350を2台設置、ステンレスSUS316Lとアルミ合金AlSi7Mgでの造形を行っている。ミシュラングループ内の金属3DプリンターもFormUp350に置き換わっている。AddUp社が欧米で航空および医療分野で必要とされているISO品質管理システム認証を取得し、潜在顧客の取得サポートも行っている。日本では日本ミシュランタイヤが営業・技術サポートを担当。

ショウルーム展示 人口関節造形サンプル

「FormUp350」の主な特徴

1.量産用として開発された金属3Dプリンターとしての高精度・高品質・高生産性

他で採用されるfシータレンズの代わりに可動レンズで焦点調整し、照射範囲中央と端で焦点径差が少ない500Wファイバーレーザーを最大4基搭載可能。生産性を向上させるべく、各4本それぞれがビルドプラットフォーム全域に照射可能。リコーティングモニタリングで不具合層の自動再リコーティングやメルトプールモニタリングが可能。

2.生産性と高品質、多用途対応のための双方向コーティングシステム

試作や単品加工では造形中断リスクが低いスクレーパーと、表面粗度が改善できる微細粉末から中間粉末まで使え、パウダーベッドの均質化やサポート低減ができるローラーを選択使用できるコーティングシステムを搭載。双方向コーティングシステムを採用し、単方向コーティングと比べ粉末散布サイクルを40%高速化できる。

3.安全、安定品質のための自律型粉末モジュールシステムを導入

FormUp専用に開発されたAPM(Autonomous Powder Module)は、粉末を投入すれば、プリンターへの供給、プリンター内での除去粉末吸引回収、ふるい、再使用を自動で、かつ閉じた不活性ガス雰囲気下で人が触れることなく行い、保管できる。劣化による廃棄粉末もほぼない。また粉末検査用サンプリング取り出しやバッチ交換管理も可能。粉末種の交換もAPMを入れ替えることで容易に可能。粉末材料はオープンだが開発済み造形条件がある推奨粉末材料もある。

ソフトウェア「AddUp Manager」「Dashboard」の紹介

  • 日本ミシュランタイヤ株式会社 研究開発本部 新規事業部 AM事業アプリケーションエンジニア 山秋 毅典 氏

AddUp ManagerはFormUp350用条件設定、データ作成ソフトウェア。多種CADファイルインポート、250以上の造形パラメータ編集設定が可能。レーザースキャニングパターンの変更やパスの確認も容易。Dashboardsは造形条件・状態と多種センサー実測値をリアルタイム表示と長期の履歴保存ができ、造形中の異常をメールなどでも知らせる機能もある。

「ミシュラン AMアトリエ」見学

山秋氏から金属粉末に関する科学的組成、粉末径により異なる人体への侵入リスク、爆発性、可燃性、禁水性について非常に詳しいご説明があった後、「ミシュラン AMアトリエ」を室外から窓越しに見学させていただいた。防爆陰圧専用室内に2台のFormUp350と付帯設備が設置運用されており、帯電防止床、入退室エアシャワーなど含め欧州安全規格に準拠した最高レベルの環境が整えられており、安全に対する正確で深い知識と高い意識を持たれていることが理解できた。

群馬積層造形プラットフォーム(GAM)の活動紹介

  • 日本ミシュランタイヤ株式会社 研究開発本部 新規事業部 ビジネスストラテジー・開発マネージャー 小川 匡通 氏
日本ミシュランタイヤ株式会社 研究開発本部 新規事業部 ビジネスストラテジー・開発マネージャー 小川 匡通 氏
日本ミシュランタイヤ株式会社 研究開発本部 新規事業部 ビジネスストラテジー・開発マネージャー 小川 匡通 氏

一般社団法人 群馬積層造形プラットフォームは、会員の課題やニーズに基づき、積層造形技術に関する人材育成、実用化、共同開発を推進する団体で2021年設立。金属AMを軸にオープンイノベーション型プラットフォームを設置。サロン会員、賛助会員、正会員25社で構成され、CETIM(フランス国立機械加工産業技術センター)やIPC(フランス国立プラスチック・複合材加工産業技術センター)も加わっており、各種工業会や海外大学との交流会をはじめ、企業見学会なども行っている。また厚生労働省の「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」が活用でき、安価に受講できるAM初級・中級教育を提供している。

見学会参加を終えて

言うまでもなくミシュランはフランスの大企業でありながら、2023年8月に事業開始の地である群馬県太田市に本社を移転したことも含め、日本、群馬に根付き共に発展を目指す独特な企業であることを訪問してあらためて実感した。またAddUp設立やFormUp350開発においても、初めから「AMによる量産製造」という軸と実用や安全という基礎の上で、自社のタイヤ金型製造という形状寸法精度、表面品質、生産数量の要求が高い用途実現のために国内外パートナーと協働し、独特な技術を作り、進化させてきた背景が理解できた。用途や要件定義の目標を明確にし、装置や材料メーカーと共に実用研究開発・量産実装を望むユーザーにとっては、群馬AMプラットフォームを含め良いパートナーになり得るのではないだろうかと感じた。

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設計者からAMソフトウエア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、AMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしていきます。

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