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「マークフォージドものづくりセミナー2024」参加報告〜新型3Dプリンター・素材・ソフトウェアで「分散型ものづくり」〜

2024年2月14日(水)に東京都品川駅近辺にあるTKPガーデンシティPREMIUM品川で行われた「マークフォージドものづくりセミナー2024 東京講演」が行われた。同社が定期的に開催するリアル会場でのセミナーには多くの参加者が詰めかけた。

講演は二部からなり、第一部はベーシック・セッションとしてグローバルな3Dプリンター市場の動向や3Dプリンターの方式の違い、素材やソフトウェア、造形方式などの基礎知識の説明が行われた。

第二部はメイン・セッションとして日本初展示になる新型カーボン3Dプリンター「FX10」のお披露目とスーパーエンプラ素材「VEGA」の紹介に続き、「分散型ものづくり」を可能にするサプライチェーン・プラットフォームである「Digital Source」の紹介などマークフォージド一押しのソリューションの紹介が行われた。

カーボンファイバー3Dプリンター「FX10」

「FX10」は昨年発表された「FX20」と今までの主力製品である「X7」の中間に位置する製品だ。

マークフォージドと言えば、カーボン配合材料による高強度の部品造形が思い浮かぶが、クラウドベースの使いやすいUIや連続稼働でもほとんど故障しない安定性でも定評がある。早くから材料、ソフトウェア、ハードウェアを高度に統合し管理してきたマークフォージドだが、インプロセスモニタリングや造形後のレーザーによる寸法測定機能などにも取り組んでおり、代を重ねるごとに安定感を増してきた。FX10でも利用可能な高強度なカーボンの連続繊維を配合したナイロン材料は、金属部品の代替として採用されるにふさわしい強度を誇る。

スーパーエンプラ素材「VEGA」

「VEGA」はマークフォージドの独⾃開発の短繊維カーボン充填スーパーエンプラPEKK素材で、航空宇宙パーツの3Dプリント向けに開発された高強度材料だ。

⾼剛性・⾼強度・⾼耐熱を誇るPEKKベースで、短繊維カーボンファイバーにより充填されているフィラメントだ。V0レベルの難燃性と航空宇宙仕様のFST(燃焼・発煙・毒性)に対応しており、
材料ごとのロット管理によるトレーサビリティ対応も行っている。

スーパーエンプラであるPEKK素材に短繊維カーボンファイバーを練り込み、そこにさらに⻑繊維(連続)カーボンファイバーでスーパーエンプラの「CFRTP」にすることで、アルミ同等またはそれ以上の剛性と強度を確⽴できる。従来アルミが用いられていた箇所をVEGAに代替することで、軽量化を実現できるだろう。

「分散型ものづくり」を可能にする「Digital Source」

装置や材料の進化だけではない。今回新しく発表された「Digital Source」は3Dモデルデータの著作権保護とオンデマンド提供を実現する3Dモデルデータ流通のプラットフォームだ。「Digital Source」は、マークフォージドの製品で製造可能な部品の設計データを3Dデータの権利保持者の権利を守ったうえで、流通させることができる。従来であれば製造にはSTLなどで排出された造形用のデータが必要だった。しかし「Digital Source」はマークフォージドの造形管理ソフトウェア「EIGER」上で稼働し、造形したい3Dモデルデータをクラウド上のデジタル倉庫上で管理し、いったん作業用のワークステーションなどに保存する必要がない。その為不正なデータの剽窃や意図しない不正コピーに悩む必要がなくなる。

マークフォージドのユーザーはシームレスに利用が可能となっているが、特定の利用者のみを指定して提供することも可能であるため、サプライチェーン上、必要な相手に必要な分だけデータの利用を解放することができる。

分散型モノづくりを実際に行うためには、適正なデータの利用範囲の管理、データ作成者の知的所有権(IP)の権利保護が必要だが大きなシステム投資が必要になるが、マークフォージドがシステム提供することで、取り組みのハードルを大きく下げ、安全に「分散型ものづくり」を展開できる取り組みだと言えるだろう。

広域な分散型モノづくりの実現に向けて

装置、材料、造形条件を一体的に管理できるマーフォージド製品が「Digital Source」のようなデータ流通のプラットフォーム上で特定多数のデータ所有者とつながることで、設計データから、遠隔で造形するパーツの品質まで管理出来ることになる。

「Digital Source」の登場でマークフォージドの戦略がさらに明確になってきた。当初からサプライチェーンを意識した「分散型ものづくり」を実践してきた同社だが、システム・装置・素材という3つの要素のバランスが整っていて抜けがない。日常業務として最も重要になる安定した稼働を着々と整備し実現してきたのも、マークフォージドらしい。今後さらなる「分散型ものづくり」が進んできた場合にその戦略は強い優位性となるだろう。

システム開発会社のエンジニア、WEB制作会社のディレクターなどを経て独立。現在は企業コンサルティング、WEBサイト制作の傍ら3Dプリンターをはじめとしたディープテック分野での取材・情報発信に取り組む。装置や技術も興味深いけれど使いこなす人と話すときが一番面白いと感じる今日この頃。

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