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3D SystemsがTitan Additive LLCを買収しペレット式3Dプリント技術を獲得

Atlas

アメリカのサウスカロライナ州に本拠地を構える3Dプリンターメーカーの3D Systems社が、コロラド州の3DプリンターメーカーTitan Additive LLC社(Titan Robotics)を買収した。Titan Robotics社は独自の押出成形技術に基づくペレット式樹脂3Dプリンターを有する。3DシステムズはM&Aを通じて新しい技術要素を取り込みながら新たな市場開拓を試み続けるようだ。日本においても次世代3Dプリンタ展のパネル展示などでTitan Robotics社の3Dプリンター「Atlasシリーズ」は紹介されている。(画像はTitan Robotics社の3Dプリンター「Atlas」出典:3DSystems社)

樹脂ペレットを素材にした押出成形で造形速度とコスト問題を改善

Titan Robotics社は粒状に加工した樹脂ペレットを素材とし、動くヘッドのノズルから素材を押し出しながら積層していく押出成形技術を活用したペレット式3Dプリンターに強みを持つAM装置メーカーだ。ペレット押出の3Dプリンターは、素材のコストパフォーマンスと造形部品の大型化対応、次元の違うノズルの吐出量を活かした高速な造形スピードにメリットがある。3D Systems社によれば粒状のペレットは、細長い糸状のフィラメントと比較すると、ものによってはコストが10分の1、造形スピードは10倍となることもあるという。

押出成形を行う3Dプリンターの印刷素材「ペレット」のイメージ 出展:3DSystems社

押出成形を行う3Dプリンターの印刷素材「ペレット」のイメージ 出典:3DSystems社

ペレットを押し出して成形する 3Dプリントでは、軟らかい素材から、炭素繊維やガラス繊維を高充填した高機能樹脂まで、数百種類の市販の製剤が利用可能であるため、材料選択の幅が広がる。顧客のニーズに合った材料を選択しつつも、高速生産と短いサイクル時間、そして低コスト生産が実現できるだろう。

Titan Robotics社製の3Dプリンターの最大の特徴は、1つの3Dプリンターに複数のヘッドを搭載できる点だ。ペレットを吐出するヘッド部を2つ搭載し、ペレットとフィラメントのヘッドを搭載するといったことが可能になっている。さらには、精密仕上げ用のスピンドルツールヘッドも同時に搭載できる。工作機械がツールを交換しながら加工を行う機構をもっているように、Titan Roboticsの3Dプリンターは「ハイブリッドツールヘッド」と称するヘッド交換に対応している。一台で複数の生産シチュエーションに対応できることは、大きな特徴だといえるだろう。

Titan-Robotics社のスピンドルツールヘッド 出展:3DSystems

Titan Robotics社のスピンドルツールヘッド 出典:3D Systems社

Titan Robotics社を買収することで3D Systems社の技術ポートフォリオを拡充

3Dプリンター業界は2021年まで続いたハイテクバブルの勢いの中で巨額の資金調達に成功している。その資金力は独自の研究開発の他に、M&Aに投下されているようだ。自社にはない分野の技術を持つ企業との合併や買収が毎月のように報告されている。3D Systems社は光造形方式からスタートした3Dプリンター企業だが、データ制御やソフトウェア開発、量産向け製造技術を持つdp polarの買収、バイオ3Dプリンター分野への進出、今回のTitan Robotics社の買収によるペレット式3Dプリント技術の獲得など、自社の技術ポートフォリオを急速に拡充させている。

今後はこれまで以上に鋳造工場、消費財、サービス事業所、輸送およびモータースポーツ、航空宇宙および防衛、一般製造業などの市場への進出を目指していくようだ。

3D Systems社の社長兼CEOであるJeffrey Graves博士のコメントは今回の買収について、以下のように述べている。
「Titan Robotics社独自の押出成形技術が加わることで、大型造形容積、優れた性能、そして生産性の向上を求めるお客様のニーズに、極めて低コストで対応できるようになる。Titan Robotics社が持つエンジニアリングとアプリケーションの専門知識と、3D Systems社の販売、サービス、アプリケーションチームによるグローバルな対応力を組み合わせることで、あらゆる市場でお客様をサポートできる体制を整えていく。」

まさに強者の戦略。全方位で市場を取り込んでいく積極姿勢を体現し続けている。日本でもニコンが金属3DプリンターメーカーであるSLMソリューションズを買収したように、3Dプリンター業界は激動を続けている。試作や治具のための装置から量産に向き合える装置や製造ラインの構築に向けて、3Dプリンター業界が大きく動き出しているのだ。ご参考までに、これまでShareLabNEWSが取り上げてきた3D Systems社関連のニュースも参照いただきたい。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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