Morf3Dがシーメンスアドバンタと提携、本社施設のデジタル化を推進
Morf3Dは、Siemens Advanta(以下、シーメンスアドバンタ)との技術開発パートナーシップを結ぶことに合意した。Morf3Dは現在、新本社工場であるADMC(Applied Digital Manufacturing Center)を建設中であり、ADMCのデジタル化と生産性向上がシーメンスアドバンタの最初の仕事となる見通し。
Morf3Dとシーメンスアドバンタ
Morf3Dとシーメンスアドバンタの技術開発パートナーシップが結ばれた。このパートナーシップは、3Dプリンター市場にとって、どのような意味を持つのだろうか?
Morf3Dは2015年に設立されたアメリカのスタートアップ企業だ。金属積層造形に優位性を持ち、航空宇宙産業のリーダー(ボーイングなど)をクライアントに持つ。2021年に日本の光学機器メーカーNikonに買収された。
一方のシーメンスアドバンタは、ドイツのミュンヘンに本社を置き、デジタル化支援を主軸とするコンサルティング会社だ。ドイツ最大のシステム事業会社(情報通信、交通、防衛、生産設備、家電など)であるシーメンスのノウハウを引き継いで、2019年に設立された。
大枠としては、Morf3Dにとって不足しているデジタル化や生産性向上のためのノウハウをシーメンスアドバンタに補完してもらう形として理解できる。
技術開発パートナーシップの狙い
Morf3Dがこのタイミングでパートナーシップを締結したことは、現在進行中の本社建設プロジェクトとも関係している。
Morf3Dが建設中の本社工場であるADMCは、金属3Dプリンターによる大規模連続生産体制を構築するだけでなく、応用研究や高度なアプリケーション開発を目的とする最先端施設だ。
90,000平方フィートの敷地面積を有するADMCは、ピーク時には150人の学際的なエンジニア、研究スタッフ、技術チームが配置される。製造業における業界パートナーシップの構築し、デジタル製造を推進していくこともADMCの重要な役割の一つだ。
シーメンスアドバンタの最初の仕事は、この本社工場におけるデジタル化支援になるだろう。
スケールアップのための計画策定、ボトルネックとなる事象の分析、さらにはモノの流通に関する検証など、包括的に支援ソフトウェアの開発を進めていく。
シーメンスアドバンタは積層造形事業を全く新しい形に変容させ、前進させる、本事業に携われることを光栄に思います。Morf3DとADMCに関する今回の仕事では、航空宇宙産業において積層造形が持つ可能性」Rani Shea氏 – CEO, シーメンスアドバンタ
Rani Shea氏 – CEO, シーメンスアドバンタ
将来に渡る技術課題の解決を
Morf3DとADMCが目指すのは、現在私たちの目に映る課題の解決に留まらない。
「Morf3Dは、どうすれば積層造形の可能性を今より広げられるのか、を考え続けています。そうした意味で、シーメンスアドバンタとの提携は大変素晴らしいものです。この提携を通して、将来の可能性が開かれたような気がします。」
「Morf3Dは、今まさに(積層造形の可能性拡大に関する)大きな成長を経験しています。私たちは、兼ねてより、ADMCに高い柔軟性を持たせることを目指してきました。また、現存する課題だけでなく、将来直面するであろう課題に関しても察知することのできる研究チームを作りたいと思っていたのです。」
Ivan Madera氏 – CEO, Morf3D
シーメンスアドバンタが協力して作り上げる生産システムは、将来、予期しない課題が発生した場合にも、柔軟に対応できる力をMorf3Dに与えることだろう。
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