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造形スピードが従来比500倍となる金属3Dプリンターの開発をすすめるSUN METALONが新たに約8億円の資金調達に成功

アメリカに本社を置き、神奈川県川崎市に拠点を構える3Dプリンターメーカーの株式会社SUN METALON(以下、SUN METALON社)が、日米の投資家から新たに8億円の資金調達を行った。投資を行ったのは新規投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社、既存投資家のUTEC (株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ)、D4V(Design for Ventures)、Berkeley SkyDeck(University of California Berkeley, 米国)の4団体。

今回の資金調達により、創業からの累計調達額は約11億円となる。(画像はSUN METALON社の経営陣 出典:SUN METALON社)

3Dプリンターで金属製品の地産地消化を目指すSUN METALON社

SUN METALON社が開発する3Dプリンターは、独自の技術により従来の500倍の速度で造形が可能な金属3Dプリンターだ。造形スピードの速さの秘密は材料の加熱方法にある。

一般的に、金属3Dプリンターは造形時に素材を溶かす工程が必要で、レーザーを用いて点や線で溶かす方式がとられる。しかし、SUN METALON社の3Dプリンターは面での加熱が可能。これにより圧倒的な生産性を実現し、コストは80%以上下げられるという。

SUN-METALON社製3Dプリンターの加熱イメージ -出展:SUN-METALON社

SUN METALON社製3Dプリンターの加熱イメージ 出典:SUN METALON社

開発中の3Dプリンターは、2023年初旬に初号機リリースを予定しており、段階的に製造可能な部品サイズを拡張し、将来的に3ラインアップの提供予定だ。

SUN METALON社は、金属製品を地産地消化し、全宇宙のものづくりを変革することをミッションとしている。世界中の工場で製品を作るために必要な機器の部品は、多くが特殊なもので、故障や摩耗によって取り替えようとしても取り寄せに時間がかかる。その輸送コストやリードタイムは、特殊な部品ほど大きくなり、事業継続上の課題になることもあるだろう。旧式の部品の場合、レプリカ部品を作ることができなければ、新たな機器への買い替えが必要になることもある。高速で金属部品を造形できるSUN METALON社の3Dプリンターがあれば、必要とされる場所で製造できるため、輸送コストもリードタイムも大幅に削減できるだろう。金属3Dプリンター「SUN METALON」 出典:SUN METALON社

IDEOもデザインに参画した金属3Dプリンター「SUN METALON」 出典:SUN METALON社

将来的には鉄鉱石や原石さえあれば金属造形が可能な3Dプリンターを開発し、アフリカや火星といったインフラが整っていない場所でもモノ作りができる「金属製品の地産地消化」を目指すとしている。

出資者から寄せられるメッセージも熱い

欧米よりも日本のベンチャー企業の資金調達額は桁が一桁も二桁も渋い。そんな中でディープテック分野に目利きがあると思われる国内外の4つのファンドから8億円を資金調達できた同社への期待は高いといえるだろう。

「昨年西岡さんとお会いして以来、打合せの度に事業のスケールの大きさに興奮し、その実現スピードと迫力に驚かされてきました。歴史的に生産用機械は日本が強い領域ですが、次世代ものづくりの本丸である「金属3Dプリンター」は欧米に後塵を拝しています。その中で、SUN METALONはグローバルかつ産業横断で技術革新をリードする可能性を秘めており、日本発のディープテック・ユニコーンとして広く社会に貢献する日を楽しみにしております。」
(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 中村 達哉氏)

「まだ何も無い初対面の時から、火星の写真を見せながら『惑星に建造物を造るには』ということを熱く語ってられました。その時から想いは少しもぶれずに、日本を代表する企業がクライアントになり、ドリームチームを集め、次のステージにスピードを全く緩めることなく爆進しています。チーム一丸となって、ものづくりの力で世界にインパクトを出して行けると信じております。」(株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ 坂本 教晃氏)

「SUN METALONは志の高いグローバルな経営陣が率いる日本のモノづくりベンチャーです。出会った当初から限りない可能性を感じ、ご一緒できることにワクワクしていました。「技術には自信があるが、グローバルに通用するデザインを一緒に作っていきたい」という彼らの想いが発端となり、これまでにもD4V/IDEOのデザイナーと共にSUN METALONならではのブランドとプロダクトを作り上げてきました。日本発の技術で世界を変える企業になることを期待しています。」(D4V:Design for Ventures 太田 明日美氏)

「カリフォルニア大学バークレー校の運営するBerkeley SkyDeckは、世界最高のスタートアップをシリコンバレーに呼び込むために運営されていますが、Sun Metalon は私たちが求める企業像にぴったりです。Sun Metalonのユニークな技術はまさに、次世代の製造の在り方を再定義するムーンショット(前人未踏の大きな挑戦)となりえるでしょう。」(Berkeley SkyDeck、カリフォルニア大学バークレー校 Chon Tang 氏)

世界を目指せ!日本の3Dプリンティング関連企業の世界市場への挑戦

アメリカに本社を置いているのには、グローバルに市場開拓をしていく狙いもあるということだが、日本のモノづくり技術をもとにした画期的な金属3Dプリンターが世界的なシェアを大きく塗り替えていく可能性がある。近年中の上場を目指すSUN METALON社の今後の活動にも注目したいところだ。同社は11月8日から開催されるJIMTOFにも出展するということで、私たちもブースを取材させていただきたいと思っている。従来比500倍の性能の秘密や取り組みのきっかけなどをブースでどのように表現されているのか、今から楽しみだ。

「市場は日本だけではない。世界市場に挑む」そうした気概でAM業界をけん引する各社の取り組みをシェアラボニュース上でも複数取り上げてきた。日本企業の3Dプリンティング分野での挑戦に関していくつか復習されたい方は以下の記事が参考になるかもしれない。

ニコンが独金属3DプリンターメーカーのSLM社買収を発表

セラミックス用3Dプリンター事業でローランドディージーがAGCセラミックスらと中国で合弁会社を設立。バインダージェット方式に取り組む。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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