アマダが切断・溶接・3Dプリントに1台で対応できる工作機械を発表
株式会社アマダ(神奈川県伊勢原市)が、3次元レーザー統合システム「ALCIS-1008e(アルシス)」を開発したことを、幕張メッセで開催された光とレーザー技術の総合展「Photonix 2023」で10月4日に発表した。ブルーレーザーとファイバーレーザーの両方を搭載することで、高速・高品位な切断、溶接、3Dプリントに1台で対応できる。
11月からは同社の「アマダ・グローバルイノベーションセンター」に導入し、ユーザーと検証を開始していくとしている。(上部画像は3次元レーザー統合システム「ALCIS-1008e(アルシス)」出典:アマダ社)
トーチ交換で3パターンの3次元レーザ加工に対応
「ALCIS-1008e(アルシス)」の3Dヘッドを切断・溶接・3Dプリントそれぞれに対応したトーチへ容易に交換できる。トーチとは金属材料などの加熱、溶接及び切断を行うときに用いる先端器具のことで、これを随時交換することによって、1台で切断・溶接・3Dプリントの3つの加工が可能になっている。
溶接トーチにおいては、用途や材質に応じて選択でき、安定した加工を可能にしている。
ブルーレーザーとファイバーレーザーを搭載
「ALCIS-1008e(アルシス)」は最大出力が3kWのブルーレーザー発振器とファイバーレーザー発振器の双方を搭載している。これは、需要が高まっている銅などの高反射材の高速で高品質な加工へ対応するためとアマダ社は発表している。ブルーレーザーはファイバーレーザーに比べ波長が短いため、銅に対する吸収率が10倍以上高くなる。これにより、高速で高品質な溶接を可能にする。
ブルーレーザーだけでなくファイバーレーザーも搭載することで、加工する材料に合わせて最適なレーザーを選択できるようにし、e-Mobilityなどにより需要が高まる銅だけでなく、日々進化する素材や工法への柔軟な対応を狙う。
オフラインプログラムの作成も可能
「ALCIS-1008e(アルシス)」はCAD/CAMソフト「VPSS 4ie」を使用することで、オフラインプログラムの作成も可能だ。また、加工において欠かせない、工作物に対して工具を動かす経路や工作機械の動きを数値情報でコントロールしながら加工を行うためのNC装置は「AMNC 4ie」を採用している。
新機能として、カメラで撮影したワーク画像からAIと画像処理により特徴的な形状位置を検出し、ワークの位置ずれを自動補正する「AI位置補正システム」を搭載したことで、段取り削減が期待できる。
さらに、アマダグループで精密溶接・加工事業を担当している株式会社アマダウエルドテック(神奈川県伊勢原市)製の溶接モニター「MM-L400A」を搭載。加工中の光をセンシングすることで、溶接品質の測定・記録・良否判定を行い、生産におけるトレーサビリティを確立する。また、保護ガラスの汚れを監視するシステムも搭載しており、不良発生の削減を図っている。
アマダ社はALCIS-1008e発表のプレスリリースにおいて、レーザーの活用領域を板金加工のみならず新たな応用領域へ拡大することで、モノづくりの創造に挑戦していくと述べている。
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