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北米市場での3Dプリンター用フィラメント試験販売開始 ― 旭化成株式会社

ザイロン™3DP用フィラメントによるバッテリーセルホルダー造形品

旭化成株式会社は、3Dプリンター用フィラメントの北米市場における試験販売を開始した。この取り組みは、3Dプリント技術の普及と市場の成長を背景に行われている。北米では、特に自動車産業をはじめとする製造業界で3Dプリンターの需要が高まっており、旭化成社は材料提供だけではなく、設計支援を行うエンジニアリングサービスも提供していくという。(上部画像はザイロン™3DP用フィラメントによるバッテリーセルホルダー造形品。出典:旭化成社)

3Dプリンター市場の成長と旭化成社の戦略

3Dプリント技術の急速な進化とともに、市場は顕著な成長を見せている。2022年以降、年平均20%以上の成長が予想される中、特に欧米市場では自動車業界を中心に3Dプリンターの活用が拡大している。自動車のOEM(Original Equipment Manufacturer)では、試作品だけでなく実際の製品製造にも3Dプリンターが用いられるようになってきており、これは市場に新たな機会をもたらしている。

フィラメントビジネスとエンジニアリングサービスで市場拡大を目指す旭化成
フィラメントビジネスとエンジニアリングサービスで市場拡大を目指す(出典:旭化成社)

この市場の成長に対応する形で、旭化成社は独自の戦略を展開。自社の高性能樹脂を用いた3Dプリンター用フィラメントの北米市場での試験販売を通じて、市場へのアプローチを図っている。旭化成社のフィラメントは、その高い造形性(低反り、寸法安定性)、耐熱性、絶縁性、耐衝撃性といった特性により、自動車業界をはじめとする各産業での需要を捉えることを狙っている。

このような取り組みは、単に製品を市場に投入するだけでなく、3Dプリント業界全体の成長に寄与することを目的としている。市場の拡大とともに、より多様な製品の需要が生まれることが予想されるため、同社は様々な産業に適用可能な高機能フィラメントの提供によって、市場のさらなる進化を支援していく方針だ。

この戦略により、旭化成社は3Dプリント技術の普及と発展に貢献し、同時に自社のビジネス成長を促進することを目指している。市場の需要に応えるだけでなく、新しい技術的な可能性を開拓し、3Dプリント業界に新たな価値をもたらすことが期待されている。

フィラメントの特長と応用分野

旭化成社が北米市場に試験販売を開始した3Dプリンター用フィラメントは、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製品「ザイロン™」とポリプロピレン(PP)樹脂製品「サーミレン™」を基材としており、それぞれ独特の性質を持っている。

変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製品「ザイロン™」
変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製品「ザイロン™」(出典:旭化成社)

「ザイロン™」ベースのフィラメントは、低反りと寸法安定性を持ち合わせているため、造形性に優れ、精密な部品製造に適している。また、その耐熱性と絶縁性は電子機器や自動車部品などの使用に理想的だ。さらに、耐衝撃性も高く、物理的な強度が求められる用途にも適応できる。

一方、「サーミレン™」ベースのフィラメントは、ポリプロピレンの特性を生かした製品であり、耐化学性や耐水性に優れている。これは特に、化学薬品の取り扱いが多い環境や湿度が高い環境での使用に適していると考えられる。

これらのフィラメントは、自動車産業、電子機器、航空宇宙、医療機器など、幅広い産業での応用が期待されている。例えば、自動車産業では軽量かつ高強度の部品が求められており、「ザイロン™」や「サーミレン™」ベースのフィラメントはこれらの要求に応えることができる。また、医療機器分野では、耐熱性や化学的安定性が重要となるため、これらのフィラメントはカスタムメイドの医療機器や患者特有のインプラントの製造に役立つだろう。

旭化成の3Dプリント支援ビジネスの展望

旭化成社の取り組みは、高性能フィラメントの提供だけではなく、設計・シミュレーション支援ビジネスにも及んでいる。3Dプリントの可能性を最大限に引き出すため、設計段階からのサポートに力を注いでいて、この戦略の一環で3Dプリントソフトウェア開発企業であるCastor社への出資を行った。Castor社は高度なシミュレーション技術と自動化により効率と精度を高めることを目指している。

旭化成が提供を目指すエンジニアリングサービス
旭化成が提供を目指すエンジニアリングサービス(出典:旭化成社)

何を3Dプリンターで製造するかを検討するプロセスはこれから取り組みを本格化させようとする企業に取っては非常に重要な課題だ。3Dプリンターによる製造がQCD(Quality「品質」、Cost「コスト」、Delivery「納期」)の改善につながるという実績を出しながら生産範囲を広げていくことは、無理のない3Dプリンター活用において必須となる。旭化成社は、Castor社との協力により、DfAMにおける設計プロセスの自動化と最適化を進め、顧客により高度な3Dプリントソリューションを提供することを目指している。

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