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NASDAQ上場の3Dプリンターメーカーの業績から見るAM業界の現在と未来

NASDAQ

概要

シェアラボ編集部では、NASDAQに上場している3Dプリンター関連企業の業績を集計している。その中から樹脂3Dプリンター、金属3Dプリンター両方を扱う3Dシステムズ、マークフォージド、デスクトップメタルの3社を取り上げ、直近2年の売上や利益、事業の状況を概観してみた。樹脂も金属も手掛けるグローバルな企業の取り組みからAM市場の今後を考えてみたい。

3社の2021年、2022年2Qまでの売り上げ、利益、事業のハイライト

上場企業は四半期ごとに業績報告を行うため、売上と利益に関して公開情報から集計してみた。ここでは純利益をもとに三社をランキング形式で並べてみていこう。

マークフォージドの実績

2022年第2四半期の純利益を基準としたランキング1位はマークフォージド社だ。マークフォージドは3Dプリンターを10機種発売しており、材料は16種類の展開がある。全世界での出荷台数は発表によると、累計1万2千台で、売上は2420万ドル(33億8800万円)、純利益は410万ドル(5億7400万円)となっている。

2021年とくらべて2022年は売上、利益ともに増加しているが、同業界でのM&Aでヘガネスの子会社デジタルメタルを買収し、業績を伸ばした。デジタルメタルの持つバインダージェット方式での装置開発ノウハウと共に、顧客基盤獲得と金属部品量産ノウハウを獲得した意味は大きい。

3Dシステムズの実績

2位は3Dシステムズだ。3Dシステムズは3Dプリンターを24機種発売しており、材料は26種類の展開がある。販売台数は発表によると、累計1万台で、売上は1億4000万ドル(196億円)、純利益は3300万ドル(46億2000万円)の損失となっている。

売上でいうと圧倒的に大きな存在感を示している3Dシステムズだが、2021年とくらべて2022年は売上、利益ともに下がっている結果だ。独自のラウンド型方式の量産志向3Dプリンターを製造するdp polar社の買収と続くコロナ禍と中国のロックダウンやロシアのウクライナ侵攻で部品調達に大きな影響があったことも大きい。今後はdp polar買収で獲得した独自の量産ノウハウとそれを支える技術陣の取り込みとサプライチェーンの改善を図ってまき直しを狙う見込みだ。

デスクトップメタルの実績

3位はデスクトップメタルです。この会社は3Dプリンターを11機種発売しています。材料は47種類です。販売台数は発表によると、年間1000台以上の実績がある。売上は5770万ドル(80億7800万円)、純利益は2億9730万ドル(416億2200万円)の損失だ。2021年とくらべて2022年は売上は上がっているが、利益は下がっている。

デスクトップメタルもコロナと国際情勢の影響でマイナスの影響を受けているほか、ExOne社の買収も影響しただろう。ExOne はバインダージェット方式の金属3Dプリンターの老舗企業で、金型製造も可能な高精度な金属造形ノウハウを持っている。そのノウハウと顧客基盤強化を狙った買収を行ったが、費用構造を最適化するためのコストダウンに力を入れ利益構造の改善を図りたいと考えているようだ。

各社の報告から見えるもの

2019年の年末からはじまったコロナの影響はいまだ悪影響を及ぼしており、部品調達や需要の低下に各社マイナスの影響を受けている。またウクライナとロシアの紛争で資源やエネルギー確保にマイナスの影響を受けているほか、為替の変動も見逃せない要素だ。資源高で市場は大きく影響を受けており、利益を大きく圧迫していることが伺える。一方で、各社M&Aを繰り返しており、逆境でも事業拡大のための攻めの姿勢を忘れてはいない。

関連リンク

同じくNASDAQに上場しているオンラインでの造形受託サービスを受け付けるXemetryに関して業績を取り上げているので、こちらも参照してほしい。

Xometryが3Dプリント受託プラットフォーム事業で売上を大幅に伸ばす

増田 健司
ShareLab編集部

メーカーの研究開発職として新素材開発に従事後、特許庁で特許出願の審査業務を10年以上経験。弁理士として独立後は、企業の知財戦略をサポートする傍ら、3Dプリンターをはじめとした先端技術に関する情報発信を行っている。趣味は深夜のショッピングチャンネル鑑賞。

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