GE、風力タービンのコンクリート基盤を3Dプリントするための研究用施設を建築
アメリカに本拠地を構える世界最大の総合電機メーカーのGE(General Electric)社のグループ会社であるGEリニューアブルエナジー社が、ニューヨーク州のバーゲン郡に風力タービン(風力発電機)タワーのコンクリート底部を3Dプリントするための新しい研究開発施設を開設した。
この研究により、風力タービンのタワーの下部を風力発電所の現場で3Dプリントできるようになれば、輸送コストを削減するとともに、この技術が使用される風力発電所でさらなる雇用機会を創出できる。
世界初となる2つのX軸が搭載された3Dコンクリートプリンター
新施設には、デンマークに拠点を置くCOBOD社が提供する3Dプリンターが設置されている。プリンターは3階建てのビルほどの大きさで、最大20メートルの風力タービンのタワー部分を印刷できる。
COBOD社の創業者兼ゼネラルマネージャーであるHenrik Lund-Nielsen氏は、「この世界的な最先端施設に、この種のものとしては世界最大となる全く新しいタイプの3Dコンクリートプリンターを納入できたことを大変誇りに思います」と述べている。
この施設のために納入された3Dプリンターは1時間に10トンを超えるコンクリートを造形できる。2つのX軸が搭載された3Dコンクリートプリンターは世界初だ。
風力タービンの下部を3Dプリントすることの恩恵
バイデン政権は2035年までにカーボンフリー電力、2050年までにネットゼロ経済の実現を目標としている。カーボンフリー電力とは企業が使用するエネルギーのすべてを再生可能エネルギーに置き換えるというもので、二酸化炭素の排出量との差し引きでゼロとするカーボンニュートラルよりも厳しい目標だ。
ネットゼロ経済とは経済活動のすべてをカーボンニュートラルの状態にするというもの。これらの野心的な目標の達成のためには再生可能エネルギーの1つである風力発電の発展が欠かせない。
3Dプリンターを用いて大型になる風力タービンの底部を現場で組み立てることができれば、コストを削減しつつ物流上のハードルを克服し、目標に向けた進展の加速が可能になる。
GEリニューアブルエナジー社が風力タービンのトップメーカーに
米国クリーン・パワー協会(ACPA)の報告によると、全米で68,000基以上の風力タービンがクリーンで信頼性の高い電力を生み出しているとのこと。風力発電の容量は合計135GWで、米国で4番目に大きな電力源となっている。
GEリニューアブルエナジー社は、ACPAから4年連続で2021年の米国における風力タービンのトップメーカーに認定された。
世界80か国以上に拠点を持つGEリニューアブルエナジー社の水力や太陽光発電なども含めた再生可能エネルギーの総発電量は、世界で400GW以上にもなるという。
今回の施設建設以外にも、風力発電に関わる事業として、GEリニューアブルエナジー社は、巨大な洋上風力発電機巨大な洋上風力発電機の部品鋳造に3Dプリンターを用いる計画を立てている。これについてはShareLabNEWSの記事でも取りあげているので参照してほしい。
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