30坪300万円の3Dプリント住宅建設に向け、セレンディクスとサンワカンパニーが提携
国内での3Dプリント住宅販売に向け研究開発を進めるセレンディクスは、住宅設備機器販売のサンワカンパニーと業務提携を開始した。
同社が以前より進める3Dプリンター住宅 「Sphere」は、球体の形状で物理的に強度が高いだけでなく、表面積が少ない。そのため、建築資材の無駄を最小限に抑えられ、30坪300万円の価格帯での実現を目指しているとのこと。(写真は一般向け3Dプリント住宅「Sphere」のプロダクトデザインイメージ/出典:CLOUDS Architecture Office )
世界の3Dプリント住宅の取り組み
近年、先進国で進む建設事業の人手不足や、世界的な脱炭素の流れ、低価格住宅に対する需要など、あらゆる住宅事情は3Dプリンターによる住宅建設事業にとって追い風だ。
3Dプリンターはこれまでの住宅施工と全く異なるプロセスで住宅を建設するため、人的、材料的、時間的コストを大きく低減する可能性を持つ。
世界では既に3Dプリンターを使った住宅建設が進められている。詳細は以下リンクをご覧いただきたい。
【事例3選】世界で建設される3Dプリンター住居、日本への実用化は?
セレンディクスの3Dプリンター建築の歩み
一方で、日本国内での3Dプリント住宅建設は遅れをとっていると言わざるをえない。試験的、実験的な住宅建設は行われているが、未だ一般向けに販売はされていない。
ここには、半ばどうしようもない面もある。地震大国日本には厳しい建築基準が存在するためだ。
ヨーロッパで住宅を建設しようとする場合には、建てた家が揺れて倒壊する心配などしなくてよい。海外で3Dプリント住宅を建てようとすれば、その分設計は容易になり、建設業者の負担が少なくなる。
しかし、日本国内でも3Dプリンター住宅への需要がないわけではない。人手不足は他国に輪をかけて深刻であり、若者には安く工期の短い住宅が必要だ。
セレンディクスは、こうした需要を満足すべく、日本国内一般向けの3Dプリント住宅開発に取り組んできた。
過去には、「国内の建築基準法を満足する」、「家を24時間で創る」、「500万円以下の住宅を創る」といった技術的課題をクリアし、一般販売向けに着実に歩を進めている。
慶応義塾大学と共同で作る3Dプリント住宅「フジツボモデル」-セレンディクス
サンワカンパニーとの提携
この度、セレンディクスは、サンワカンパニーとの業務提携を決めた。
サンワカンパニーは住宅設備機器や建築資材の販売を行っている。例えば、洗面台やキッチンシンク、浴槽、タイル、フローリング、壁材、ドアなどだ。様々なインテリア、エクステリアも扱っている。
こうした提携を見るに、実験的な3Dプリント住宅建設の段階は抜けたようだ。一般向けの住宅販売に向けて動き出したことが伺える。一般向け販売も間もなくか。
セレンディクスは2025年大阪万博での展示を目指している。国内で3Dプリント住宅が普及するにはまだ時間がかかるだろうが、今がその分岐点であることは間違いない。
関連情報
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。