「人とくるまのテクノロジー展2023」にて、大型3Dプリンター製の家具を展示
株式会社前田技研(愛知県岡崎市)が大型3Dプリンターで植物由来材料を素材として使用した椅子を製作。2023年5月24日から5月26日までパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2023」にて、トヨタ車体株式会社(愛知県刈谷市)のブースで展示された。(画像は大型3Dプリンターで造形されたイス/出典:前田技研社)
トヨタ車体社が開発した「TABWD」を素材に3Dプリンターで造形
今回、前田技研社が作製した3Dプリンター製の椅子は、プリント素材としてトヨタ車体社が開発した「TABWD(タブウッド)」を使用している。TABWDは、ポリプロピレン(加熱すると軟化し、冷却すると固化する変形させやすい性質の樹脂)に、スギ間伐材を補強繊維として組み合わせた射出材料だ。
一般的に、自動車用の樹脂部品には補強材料としてタルクやガラスが使用される。それをスギ間伐材に置き換えることで、軽量化や強度・耐熱性も向上したものとなっている。TABWDはすでにトヨタ車の自動車用部品の素材として使用されている。また、TABWDはポリプロピレンも含めて素材全体のリサイクルが可能だ。スギ間伐材を使用し、リサイクルも可能なTABWDはカーボンニュートラルに貢献する素材といえる。
TABWDを使用した3Dプリンター製の椅子を造形した背景
前田技研社は大型3Dプリンターによる造形や試作部品製作を行っている。同社が所有する大型3Dプリンターは、ペレットと呼ばれる粒状の材料をプリント素材とするもので、TABWDがペレット素材であることから、展示会へ向けた造形を企画したという。
「人とくるまのテクノロジー展2023」では展示のみで実際に座ることはできないが、今後は、座って材質を感じられる製品づくりに向け、改善を進めていくとしている。
製作された3Dプリンター製の椅子は、企画段階から最終造形まで前田技研社で完結させている。従来は顧客の要望通りの形状で造形するものが主であったが、今後は今回のように自社内で完結する製品づくりを進め、ビジネスの柱の一つとしていくことを視野に入れているようだ。
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