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3Dプリンティング技術を利用して遺体の身元の特定につなげる

法医学アーティストのSAM MOLNAR氏と頭蓋骨データから復元された顔

アメリカのオハイオ州犯罪捜査局(BCI)はオハイオ州立大学と提携し、遺体の身元確認に3Dプリンターを用いて顔の復元を行い、事件の捜査に役立てている。(上部画像は法医学アーティストのSAM MOLNAR 氏と頭蓋骨データから復元された顔。出典:オハイオ州犯罪捜査局)

3Dプリントされた頭蓋骨から顔を復元

遺体からDNA、歯の治療記録、タトゥー、身元を示すマークなどが入手できないとき、警察が扱うのは頭蓋骨だけで、しかもそれが完全な状態であるとは限らない。そのような場合には犯罪捜査局BCIの法医学アーティストで情報アナリストの Sam Molnar 氏のような人物を呼び、その人物が生きていたときにどのような姿をしていたかを特定するという。

Sam Molnar 氏はフロリダにある行方不明・被搾取児童センター(Center for Missing and Exploited Children)からの専門的な訓練を受け、人類学者からの推定性別、年齢、人種などの情報をもとに、3Dプリントされた頭蓋骨のコピーの上に粘土で髪の毛、顔の特徴、筋肉を彫刻し、身元不明者の頭や顔を作る手伝いをしている。

頭蓋骨データから復元された顔
頭蓋骨データから復元された顔(出典:オハイオ州犯罪捜査局)

従来、3Dプリントされた頭蓋骨のコピーを入手するには、メディカルセンターまで頭蓋骨を輸送した後、CTスキャンを行い、そのデータを元に3Dプリントを行う必要があった。これには多くのプロセスと時間がかかるため、その分、捜査が難航しやすくなってしまう点に課題があった。さらには、CTスキャンよるデータには、頭蓋骨の内側や口の中など、3Dプリントを行うには必要とならない情報も多く、それゆえ3Dモデル造形に時間を要することもあるようだ。

しかし、フォトグラメトリーと呼ばれる複数枚の写真から3Dイメージを作る手法を用いることで、人間の頭蓋骨を含むほとんどすべての物体を、データから画像化して表示する3Dレンダリングが可能なプログラムが開発された。このプログラムでは、レンダリングの構築のためには、いくつかの角度から撮影された一連の写真データだけが必要となる。スマートフォンを持っていて、高画質の画像が撮影できる人なら、誰でも数分で3Dオブジェクトを作ることができるという。

一般公開するまでの期間も大幅に短縮

この技術の開発により、頭蓋骨のCTスキャンは必要なくなった。写真データはCTスキャンによるデータよりもはるかに少ないデータ量であるため、3Dプリンターで頭蓋骨のコピーを造形し、その画像を一般公開するまでの期間も大幅に短縮できる。

頭蓋骨からは肌の色や目の色、顔の毛、髪型などの情報は得られない。しかし、システムを用いることでさまざまなパターンを作り出すことや、必要に応じて加齢させることもできるという。

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