Nexa3D社、事業規模縮小のための戦略的決定を発表
Nexa3D社が、事業規模の縮小を決定したと発表した。同社は、光造形方式の分野で超高速の産業用3Dプリンティングソリューションの分野を牽引してきたが、伸び悩む光造形市場やマクロ経済的な圧力に直面し、戦略的な代替案を慎重に検討した結果、この苦渋の選択に至った。(上部画像はNexa3D社のプレスリリースより。出典:Nexa3D社)
Nexa3D社の技術と主力製品が生む製造プロセスの変化
創業以来、スピード、スケーラビリティ、コスト効率を実現する光造形方式の3Dプリンターを通じて、積層造形技術の普及を加速させることに専念してきたNexa3D社。同社の主力製品である「XiP Pro」やデスクトップ型3Dプリンター「XiP」は、表面性の高さと造形速度の速さで従来の製造プロセスを変革し、ヘルスケア、自動車、消費財などの多様な産業において前例のない生産性向上をもたらしたことが日本でも高く評価されていた。
Nexa3D社のCEOであるアビ・ライヒェンタル 氏は「Nexa3Dの歩みは、大胆な革新と3Dプリンティングにおける卓越性の追求の連続であった。この決断は非常に困難なものであったが、これまでのチームの成果に心から誇りを持ち、また私たちを支えてくれた顧客、パートナー、積層造形技術のコミュニティに深く感謝している。」と述べる。
伸び悩む光造形市場とスタートアップの苦悩
一方でここ数年のMEX方式の3Dプリンターの進歩が著しく、表面性の高さを謳ってきた光造形装置の顧客層を侵食しており、Nexa3Dが主戦場としている試作・量産分野の市場を脅かしている状況だった。またコロナや紛争といった世界情勢の変化もあり、ハードテックスタートアップとしての3Dプリンター企業の業績は軒並み計画を下回っている。ベンチャーキャピタルなどの出資を受け入れている企業には風当たりが厳しい状況だろう。
Nexa3Dはこうした厳しい経営環境の中で「従業員の福祉を最優先しつつ、顧客に対する責務を果たし、自社の技術や知的財産を引き継ぎ、Nexa3D社の技術資産をさらに発展させることができる組織への移行の機会を模索する責任あるプロセスを進める方針」を打ち出したかたちだ。
Nexa3D社の遺産を活かした次世代の可能性
具体的な譲渡先は明示されていないが、今後はNexa3D社としての事業拡大をめざす活動は休止し、規模縮小と事業譲渡を模索するとnexa3Dのサイトでは説明されている。Nexa3Dが築き上げてきた超高速3Dプリンティング技術や、従来の製造プロセスを変革する製品は、業界全体の進化を促進する大きな資産だ。特に主力製品である「XiP Pro」や「XiP」は、ヘルスケア、自動車、消費財など多様な分野で導入され、実績を積み上げてきた。
Nexa3D社は、顧客に対し、製品やサービスの継続的なサポートを確保し、今後の手続きについて明確な指針を提供するために尽力する。今後数週間にわたり、サポートの提供状況や製品の次のステップについて明確な案内を行う予定である。製品の注文に関しては、引き続きリセラーパートナーに連絡するよう案内しているが、今後も他の企業や組織によって引き継がれることで、Nexa3Dの技術が製造業のデジタル化や効率化の一助となることを期待したい。
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