ADDiTEC、新型金属3Dプリンター「HYBRID³」を発表
アメリカの金属3DプリンターメーカーのADDiTEC社がドイツのフランクフルトで開催された3Dプリント技術に関する国際見本市Formnext2023において、新型3Dプリンター「HYBRID³」を発表した。液体金属ジェッティング(LMJ)、レーザー支援指向性エネルギー堆積(LDED)、コンピュータ数値制御(CNC)の3つの機能を1台のマシンでまかなう。LMJは高解像度の3Dプリント機能で注目されているもので、LDEDは高い成膜速度に寄与する。
主に自動車用金属部品の製造をターゲットとし、市場への出荷は2024年の第1四半期末までを予定している。価格は約50万ドル(約7,400万円)からとなる見込みだ。(上部画像はADDiTEC社の新型3Dプリンター「HYBRID³」/出典:ADDiTEC社)
「HYBRID³」の特徴
ADDiTEC社の新型金属3Dプリンター「HYBRID³」は、0.5 mmのLMJ解像度と毎時4 kgの高いLDED成膜速度を兼ね備えている。LDEDシステムには、波長1080nmの6kWファイバーレーザーが採用され、0.8~1.2 mmの層厚を形成できる。LMJツールヘッドは、最小0.24 mmの層厚を実現し、0.5 mmの解像度を提供。そして、CNCマシニング・システムは、40インチ×20インチ×25インチの加工容積を持ち、最大主軸回転数12000rpm、切削速度21.1 m/minとなっているという。
さらに、2つのプリントヘッドが搭載されていることで、複数の金属素材を用いた3Dプリントも可能だ。現在のところ、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅合金が使用可能となっている。将来的にはより多くの金属材料が使用できるように機能が拡張される予定で、すでに新しいシステムで銅と銀のテストが開始されているという。
ADDiTEC社は、この新しい3技術システムを備える金属3Dプリンターを11週間という短期間で開発したとされ、その背景には2023年の8月に行われたXerox Holdings Corporationの子会社で、積層造形部門にあたるElem Additive Solutions社の買収の影響が大きいと見られている。この買収によりADDiTEC社は液体金属ジェッティング(LMJ)技術を獲得した。
この買収については過去にShareLab NEWSでも取り上げているので、詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。
ADDiTEC社の創設者兼CEOのBrian Mathews氏はHybrid 3について以下のように述べ、今後の開発への注力をアピールした。
「私たちは急速に材料の範囲を広げています。レーザー・アシストを取り入れましたが、これはリキッドメタル・プロセスでは初めてのことです。レーザーを局所加熱に使用することで、材料範囲が飛躍的に向上し、リキッドメタルの特性、特に解像度の高さから、リキッドメタルが業界を支配する存在になると考えています。リキッドメタルがすべてをこなすような、このような製品を数年待つようなことはしたくない。補完的な技術を組み合わせることで、より早く素晴らしい製品ができると考えています。」
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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
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