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ついに登場!日本初の建築基準法に準拠した3Dプリント建設

ShareLab NEWSでは多くの3Dプリンターで建てられた建築をご紹介してきたが、今まではどれも海外事例が多かった。

そんな中、建設用3DプリンターメーカーPolyuseとMAT一級建築士事務所は3Dプリンターを活用して、群馬県渋川市に建築物を作り上げたと発表。今回は日本初の建築基準法準拠した建築物施工を実現した3Dプリント建築をご紹介する

世界的に広がる3Dプリント住宅建設の流れ

近年、3Dプリンターを活用した住宅建設が大きな盛り上がりを見せている。

3Dプリンターを活用することの最大の特徴は、そのスピードだ。セメントを流し込む型枠を作り、型枠内部にコンクリートを流し込み、硬化させるという従来の建築方法に比べ、3Dプリンターによる住宅建設は、工数が大変少ない。これにより、大幅な建築期間短縮が見込める

自由な形状も特徴の1つだ。自然な曲線や斜面など、従来工法では難しかった形状も自在に構築できる。余分な資材が発生しないことは、地球環境へのダメージを低減する。将来的には、住宅コストを大きく引き下げる可能性もあるだろう。

こうした背景から、欧州や中国では3Dプリンターを活用した住宅建設が次々と進められている。

国内基準を満足する初の3Dプリント建築、1か月で建築

3Dプリント建築に関して日本は少々不利な立場にある。日本では地震や津波といった自然災害が度々発生するため、それらに応じて建築に要する基準も高い。

これまでは、建築基準法を満たす建築物が3Dプリンターでは建築できていなかった。

こうした背景のもと、日本でも遂に3Dプリンターを活用した建築物が誕生した。建築の設計を請け負ったのはMAT一級建築事務所、建設用3Dプリンターを開発するPolyuseとの共同事業で施工した。

本事業は、国内建設現場の生産性を向上させるPRISMプロジェクトの一環だ。PRISMプロジェクトとPolyuseについて詳しくは以下の記事を参照していただきたい。

Polyuse社製建設用3Dプリンターが国土交通省主導のPRISMプロジェクトで共同実証を行う

建築基準法で定められる建築確認申請が必要となるのは10㎡より大きな建造物だが、今回建築されたのは17㎡の建造物だ。この建築物は、事前に3Dプリンターで作った12個の部材を組み合わせて作られた

事前に3Dプリンターで作った部材。成形されたコンクリートといった様子
事前に3Dプリンターで作った部材 (出典: Polyuse )

建築用3Dプリンターで部材を造形する作業と並行して、群馬県渋川市の建築予定地における基礎打ちを実施。現地での組み立てはわずか2日で終了した。旧来2カ月強かかるような建築を、約1カ月で終了させ、大幅な工期短縮を実証した。

3Dプリンターが実現したコスト削減。工期全体では35%、職人が働く日は30%削減できる。
3Dプリンターが実現したコスト削減(出典: Polyuse )

日本国内で 3Dプリント建築を実現したことの意義

日本では近年、少子高齢化とサービス業への人材流出により建築業界の就業者が減少している。今後もこの傾向は継続し、建築業界の人手不足は益々深刻化していくだろう。

3Dプリンターは、建築業界の人手不足を解消する潜在的な力を持つ。住宅建設に要する人手と時間を減らし、生産性を大きく高めることができるかもしれない。

今回の事例で、国内でも住宅建築に 3Dプリンターを活用する機運は高まっていくことが予想される。建築物は決して大きくないが、国内建築業界の転換点としては大きな意味を持つ。

また、自然災害の多い日本で、3Dプリント住宅が実現したという意義も大きい。災害時に必要となる仮設住宅は、どんなときにも不足してきた。3Dプリンターで迅速に災害時住居が建築できるようになれば、被災地での苦しい生活が改善されることだろう。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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