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オンラインカンファレンス”JAMM9″参加レポート-コニカミノルタ/Conflux Technology/日本積層造形

LINK3D Inc.主催の3Dプリンティング・積層造形オンラインカンファレンス”JAMM9”に参加した。同社は、今まで3Dプリンター活用に関するオンラインカンファレンスを数多く主催しており、国内外のAMについてさまざまな情報発信を行っている。今回がその9回目となる。

今回の登壇企業は3社、3Dプリンターを自社製品の製造に活用しているコニカミノルタ、以前ご紹介した熱技術を用いた3D造形サービスを提供するオーストラリアのConflux Technology、国内初の金属3Dプリンターのサービスビューロである日本積層造形株式会社。本参加レポートでは、特に印象的であった箇所をかいつまんでお伝えする。今後、3Dプリンター活用を検討している方にはぜひご覧頂きたい。(上部画像はイメージ画像です。)

コニカミノルタ

量産製品へのAM活用検討 ~そこから学んだこと、また今後に向けて~

まず、トップバッターとしてコニカミノルタ 開発統括本部の毛利孝裕氏がコニカミノルタが進めてきた量産製品へのAM活用検討について講演を行った。

コニカミノルタと言えば、もともとカメラ・写真フィルムメーカーとして創業し、現在では複合機、商業・産業印刷機、ヘルスケアなど多様な事業を展開しているグローバル企業だ。そんな同社は、プリンターという共通項があってか3Dプリンターまた3Dプリンティングの技術に関連する事業を展開を行っており。海外では、3Dプリンターメーカーと提携し、米国やオーストラリアにて装置販売、各種サービスの提供を行う。国内では、Kinko’s Japanにて法人、個人を問わず幅広い顧客に造形サービスを提供している。また、社内でも生産調達本部にて社内向け3Dプリンティングサービスを運用実施している。

これまでのコニカミノルタのAMの取り組み(コニカミノルタより提供)
これまでのコニカミノルタのAMの取り組み(コニカミノルタより提供)

そんなコニカミノルタは近畿経済産業局主催のKansai-3D実用化プロジェクトにおいて、同局の協力を仰ぎながら、3「産業用機器におけるAM部品導入検討」を実施した。比較的小ロットであるプロフェッショナルプリント領域の産業用機器の部品を造形物とし、強度評価、寸法精度評価を含めさまざまな視点から評価が行われた。その結果、3Dプリンターで造形した部品について、強度は従来工法で製造した部品と同等であるものの寸法精度は劣ることが分かった。

AM部品 品質保証とコスト試算(コニカミノルタより提供)
AM部品 品質保証とコスト試算(コニカミノルタより提供)

また、同検証時に、DfAMの活用も検討され二つの課題が見えてきた。

設計者のAM知識不足、および、AMの利点を生かす設計手法の習得だ。前者は、設計のガイドラインや事例集の作成、後者は、既存ツールでは3Dプリンターの価値を最大限に引き出すのが難しいため、AMに適した設計ソフトウェアの選定を行い解決した。

その結果、AM用のソフトウェアを用いてDfAMをうまく活用することで、造形物の性能を確保したまま軽量化ができ、造形時間の予測も可能となったとのこと。

「このように、ソフトウェアを用いて造形のコスト、品質などを事前に見積ることが可能となった今日においては、実際の造形に入る前の要件定義の重要性が高まっている。また、今後設計者に求められる能力についても、ものを正しく作る力のみならず、造形に着手する前の要件定義の力が特に重要になってくるのではないか」と3Dプリンタのパラメータや後処理だけでなく、造形前の要件定義の重要性を説いていた。

【DfAMとは】
「Design for Additive Manufacturing」の頭文字を取った略称。
3Dプリンターを活用したものづくりに取り組む際の設計手法やデザインガイドラインを指す。
例として、3Dプリンターのビルドプレート上にパーツを配置するような簡単な手法もあれば、より優れた効果を得るためにCAE解析の結果を反映させたり、3Dプリンティングによってのみ作成可能なパーツを造形するいくつかのプロセスを踏む手法も含まれる。
DfAMの詳細やメリットをさらに知りたい方は、”DFAMは「今より凄い何か」のきっかけになるかも!”をご覧いただきたい。

講演の終盤に、現状開発の部隊も含め3Dプリンターは新しい技術であるため、”なぜ、AMに取り組むのか” ”AMをどう生かすか”の検討に苦労しているものの、今後その重要性はますます高まると仰っていた。

毛利氏の講演はものづくりの上流における検討の重要性を、一貫して説明されていたことが印象的であった。3Dプリンターの利便性はさまざまな情報源にて知ることはできるが、”では、なぜAMに取り組むのか?自社製品にAMを活かすのであれば、どこにどのようにAM技術を適用することで、そのメリットを引き出すことができるのか?”を突き詰めて検討しているケースは普段中々見聞きすることができない。その意味でも、貴重な内容を含んだ講演であった。

産業用機器におけるAM部品導入検討 まとめ
産業用機器におけるAM部品導入検討 まとめ(コニカミノルタより提供)

Conflux Technology

AM熱交換技術のパイオニア、Conflux Technologyの紹介

Conflux Technologyは、日本ではまだあまり見聞きすることのない企業であるものの、AM熱交換技術分野ではパイオニアだ。当日は、国内で活動をするRobert Alvey氏による会社概要を中心したプレゼンテーションがあり、質疑応答にはBusiness DevelopmentのHeadであるBen Batagol氏も参加した。

2017年に創業し、オーストラリアに本社を構える同社は、フォーミュラ・ワン(F1)、世界ラリー選手権、ル・マンの試作車のデザイナーを務めていたCEOのMichael Fuller氏を筆頭に、各分野のスペシャリストで構成されている。事業概要は、以下の通りで設計から3Dプリンターを活用した製造、検証まで一気通貫して行う。

・設計とエンジニアリング
・マルチフィジックスモデリング
・アディティブマニュファクチャリングプロセス
・テストと検証
・研究開発プログラム

なぜコンフラックスなのか?(コンフラックスより提供)
なぜコンフラックスなのか?(コンフラックスより提供)

Conflux Technology、特注の熱交換器(温かい流体から冷たい流体へ熱を移動させる機器であるボイラー、エアコン、冷蔵庫など私たちの日常生活においても多用されている)を設計してきた実績を多数持っており、実際にconflux社の3Dプリンティング技術を用いた製品が使用されている分野は、モータースポーツ、航空宇宙、防衛、自動車、石油・ガス、マイクロエレクトロニクスと実に多岐に渡る。

実際に、同社が熱交換器をCADで設計する様子も公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

講演の後半では、熱交換器の耐圧や造形後の後加工などConflux Technologyの技術面に関する質疑応用が活発に飛び交い、同社の事業に対する参加者の興味・関心度合いの高さが感じられた。また、特に自動車分野においては、今後従来の自動車に代わって電気自動車が普及してくる。そこでは、発生する熱をいかに制御するかが大きな問題となってくるとのこと。ここでも、熱交換器の技術に強みを持つ同社に期待したい。

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日本積層造形株式会社

目まぐるしい金属3Dプリンター市場。EBM/SLM装置の現状と今後について

2025年度には、その市場規模が2,500億円にもなると言われている金属3Dプリンター。

ただ、一口に金属3Dプリンターと言っても、その製法はさまざまであり、一般的に知られるレーザー焼結法以外にも多くの製法が存在する。ただ、金属3Dプリンターの造形方式と言えば、使用率が7割以上を占めるパウダーベッドフュージョン:PBF(粉末床溶融結合)が有名だろう。

パウダーベッドフュージョンは、レーザや電子ビームを熱源としており、平たんに敷き詰めた金属粉末を一層ずつ溶融・固着しながら積層していく方式だ。今回は、そのパウダーベッドフュージョンの内、使用する熱源が異なるEBMとSLM装置に関して、国内初の金属3Dプリンターのサービスビューロであり、自社でも多くの金属3Dプリンターを有する身として日本積層造形株式会社の取締役副社長 保田憲孝氏よりご説明があった。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、ここ3Dプリンターの造形方式でEBM方式とSLM方式の違いに簡単に触れておく。

EBM方式(Electron Beam melting)SLM方式(Selective Laser Melting)
邦訳電子ビーム熱源方式レーザビーム熱源方式
造形の仕組み金属粉末に電子ビームを照射して溶融する金属粉末にレーザービームを当てて固める
メリット・レーザービームに比べて高出力、高速
・精密な金属パーツを正確に造形することができる
・実際の金属合金を使いダイレクトに高精度で機械的強度を持つ金属パーツが作れる
使用可能な材料・チタン、コバルト・クロム、インコネルなどに対応
・また、銅、金属ガラス、ステンレス鋼なども対応できるよう開発が進む
・EBM同様、多くの金属合金に対応
・チタン、ニッケル、アルミニウム、コバルト、クロム、ステンレス鋼、マレージング鋼、ブロンズなど
代表的な海外3DプリンターメーカーARCAMSLM Solutions

国内のEBM装置市場は、今まではARCAM(GE Additive)が独占してきたものの、日本電子、多田電機、Waylandが参入してきたことにより、各社が差別化を検討することでより顧客視点に立った技術開発が加速する可能性があるとのことだ。

SLM装置市場については、メーカーが全世界で40社以上あり、EBM装置に比べて各社による装置の差別化が進行し、選択幅が広いとのことだった。SLM方式の課題とされている熱変形、生産性については、解決に向けて高機能化や自動化が積極的に進行しているとのことだった。また、再現性が高いので、実用化・量産部品の開発事例も増加している。

EBM装置の最新動向(JAMPTよりご提供)
EBM装置の最新動向(JAMPTよりご提供)

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日本電子のEBM装置「JAM-5200EBM」については、以下でもShareLab編集部が取りげているのでぜひご覧いただきたい。

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