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3Dプリント技術による自動車修理、米Auto Additive社の新たな挑戦

3Dプリントされた治具

自動車修理に特化した3Dプリント技術の活用を行う米Auto Additive社は修理部品の製造に3Dプリンターを使用することで、従来の方法に比べて迅速かつコスト効率の高い解決策を提供している。同社は2024年5月22日に開催された国際ボディショップ産業シンポジウム(IBIS)で、3Dプリント技術を用いた自動車修理の新しいアプローチを発表した。この発表は、3Dプリント技術が自動車の保守・修理・オーバーホール(MRO)分野にもたらす変革の一端を示している。(上部画像は3Dプリントされた治具。出典:Auto Additive社)

IBISでの主な発表内容

今回はギリシアで開催されたIBISで発表されたAuto Additive社の治具には、主に3Dプリントされたプラスチック修理プッシュツール、金属製バンパーサイドタブ治具、ヘッドライト用の溶接ポリプロピレンタブがある。

プッシュツール (出典:Auto Additive社)
力を入れやすく形を整えやすい専用設計だ (出典:Auto Additive社)

プラスチック修理プッシュツールは、衝突などで変形したボディーパーツを熱した後におしながら形と整えるオリジナル治具だ。従来の修理方法に関連する労働時間とコストを削減しつつ、正確で効率的な修理機能を提供することを目的としている。

バンパー溶接治具
金属製バンパーサイドタブ治具(出典:Auto Additive社)

金属製バンパーサイドタブ治具は、バンパーの特定部分を補修する際に使用され、バンパー全体を交換する必要をなくすために設計されており、必要な場所に直接取り付けることができる。

ヘッドライト用の溶接ポリプロピレンタブは、ヘッドライトを完全に交換することなく業界標準に復元するためのもので、コストの節約と廃棄物の削減が可能である。これらの治具はすべて3Dプリント技術を用いて製造されており、修理作業の精度と効率を大幅に向上させることができる。

かつて自働車のアフターマーケットは、高度な技術を持った職人が技を競っていたが、先進国では修理工の高齢化や、人手不足がすすんでいる。また自動車部品のモジュール化が進んだこともあり、部品の修理ではなく交換が粉われるようになって久しい。こうした流れも3Dプリンターが修理工場の現場により進出し、便利な治工具の製造や補修部品自体のワンオフ製造が進展することで、あり方が変わってくる可能性もある。

また、Auto Additive社は、HP社やGKN Additive社などのパートナー企業と協力し、3Dスキャン技術やブロックチェーンを活用したCADファイル管理システムを導入している。これにより、知的財産の保護と製品のトレーサビリティが確保されるという。

IBIS GlobalのCEOであるJason Moseley 氏のコメント

Auto Additiveの立ち上げにより、3Dプリンティング自動車修理タスクフォースの成果が実を結んだことに非常に興奮しています。このコラボレーションは、業界のステークホルダーが協力して有意義な変革を推進する方法を示すものであり、『Transforming Tomorrow Together(共に未来を変える)』というテーマを体現しています。これにより、IBISおよび業界全体が他の分野にも目を向け、変化する衝突業界の重要な要素に対処するために協力する先例が設定されました。

Auto AdditiveのHarold Sears 氏のコメント

Auto Additiveは、業界をリードする自動車OEMが使用しているのと同じ産業用グレードの3Dプリンターと材料を使用して、最高品質の部品を製造しています。さらに、当社の先進的なブロックチェーン駆動のソフトウェアは、追跡可能性を提供し、クライアントのデジタル在庫の不正使用を排除します。各製品には固有の英数字の識別子が付与されており、当社のウェブサイトでバッチ日付、場所、部品データを追跡できるため、最終的な知的財産保護と製品の真正性が確保されます。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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