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3Dプリンター住宅、日本の課題と最新事例を紹介

フジツボモデル完成イメージ(出典:慶應義塾大学

世界で3Dプリント住居の建築が相次ぐなか、日本の状況はどうなのか。日本が抱える課題に触れながら紹介していく。(画像は日本で開発がすすむ3Dプリント住宅 「フジツボモデル」の完成予定図 出典:慶應義塾大学)

日本での建築をする上での最大の敵は「地震」

地震大国である日本では、建造物に厳しい耐震基準が設けられている。1981年に施工され、現在でも続く新耐震基準では「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」ことが義務づけられている。

これは戸建てでもマンションでも同様で、もちろん3Dプリンターで造形された住宅でも例外ではない。現在のところ、一般住宅としての3Dプリンター製住宅は日本に登場していない。

国内事例1│3Dプリンター住宅メーカー「セレンディクス」

2018年に設立され、兵庫県西宮市に本社を構える3Dプリンター住宅メーカー「セレンディクス株式会社」は、日本初となる3Dプリンター住宅を、愛知県小牧市で建築した。施工開始から防水処理や開口部等の住宅処理までをわずか23時間12分で完了させている。

 セレンディック社の3Dプリント住宅「Spehe」

セレンディック社の3Dプリント住宅「Sphere」

セレンディクス社の住居は球体状で、名称は「Sphere」。これはプロジェクト名にもなっている。Sphereはグランピング・別荘・災害復興住宅として10平方メートル・300万円で予約販売がされる。

日本初の3Dプリンター住宅Sphereについては、セレンディクス社の展望も含めて取り上げているので、参照してほしい。

セレンディクス社は、将来的に30坪300万円で販売できる一般住宅の建築を目指している。現在は慶応義塾大学の研究グループと共同で、3Dプリント住宅「フジツボモデル」を設計し、2022年内の完成に取り組んでいるところだ。

フジツボモデル完成予定図(出典:慶應義塾大学
フジツボモデル完成予定図(出典:慶應義塾大学)

国内事例2│建設用3Dプリンターで技術提供「Polyuse」

セレンディクス社と共に、日本の3Dプリンター業界を牽引する存在が、2019年に設立された「株式会社Polyuse」だ。Polyuse社は、建設用3Dプリンターを開発・サービス化する日本初のベンチャーで、建設用3Dプリンターを中心とした、建設業界特化型の技術開発及びサービス提供を行っている。大きな特徴は、建設業界に特化している点だ。

Polyuse社は、国土交通省主導のプロジェクト「PRISM」において、生産性向上の一手として建設用3Dプリンターによる排水土木構造物製造を、施工会社の加藤組とともに、中国地方で初めて共同実証を行った。

加藤組による現地印刷風景-出展:Polyuse社
加藤組による現地での3Dプリント風景 出展:Polyuse社

実証実験では、建設現場における生産性向上を目的に加藤組の施工管理のもと、実際の施工現場にて建設用3Dプリンターを活用し、排水土木構造物の現場製造が行われた。建設用3Dプリンターの導入は、造形の自由度や廃棄物量の抑制に加え、熟練技術者の不足問題も解決することが期待されている。

海外の3Dプリント建築の今

日本での3Dプリンター活用は、諸外国に比べて進んでいるとは言えない状況にある。アフリカ南部の国、アンゴラ共和国では、140平方メートルもの広さの3Dプリント住宅が先日建設された。建設にかかった時間はわずか30時間だという。

人口増加が続く国では、深刻な住宅不足が問題となっている。手頃な価格で建設できる3Dプリント住宅は、通常の住宅よりも早く、より安価に建設することが可能となるため、住宅不足問題を徐々に解消できるのではないかと期待を集めているところだ。

既に人口減少が始まっている日本と、住宅不足が問題となっている国とでは住宅に対する捉え方は異なる。

セレンディクス社が提唱するように、安価で短期間に建設できる3Dプリント住宅は、住宅ローン破綻や、脱炭素化、ウッドショックといった日本が抱える課題を根本から解決することになるかもしれない。日本での最新3Dプリンター事情を、今後もShareLabNEWSでは取り上げていきたい。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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