molex(モレックス)社(米国イリノイ州・ライル、以下、molex)は、世界的なエレクトロニクス企業であり、コネクティビティ技術における革新企業としても知られている。現在、同社は3つの大陸にわたり1,000人を超える従業員を擁し、世界中の多様かつ忠実な顧客基盤を支えている。こうしたグローバルな事業展開を背景に、molexは急速に進化を遂げる3Dプリント分野での成長加速を目指し、Prusa Research社(チェコ共和国プラハ、以下、Prusa)との協業体制を一層強化した。3Dプリント業界における存在感を急速に高めるパートナーシップは、今後の市場動向において重要な役割を果たすことが期待される。(上部画像はmolexのプレスリリースより。出典:molex)
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オープンソース精神と柔軟性を両立するPrusaの製品戦略
Prusaは、コミュニティへの貢献、持続可能性の追求、ならびにオープンソースのハードウェアおよびソフトウェアに対する明確な姿勢を基盤とし、完全に組み立てられた完成品のプリンターと、自らの手で組み立てるDIYプリンターキットの両方を提供している。加えて重要なのは、ユーザーがハードウェアやソフトウェアの改良、拡張、アップグレードを通じて、新たな機能や可能性を長期的に発見・活用できる点である。
Prusaが掲げる顧客重視の姿勢、コミュニティへの強い思い、そして技術的な強力パートナーシップの存在は、同社の目覚ましい成長を持続させるための確固たる基盤となっている。
同社は昨年、30万件を超えるプリンター、フィラメント、樹脂、各種アクセサリーの注文を取り扱った。また、グローバル展開の一環として、米国市場における製造体制の強化を図るため、米国デラウェア州ニューアークにPrinted Solidという子会社を設立し、プリンターおよびフィラメントの現地生産を開始している。
Prusa、molexのCLIK-Mateで信頼性と生産効率を両立
Prusaは、持続的な成長を後押しするために、molexのCLIK-Mate電線対基板用コネクターを採用している。この製品は、操作性の容易さと高い性能基準という同社の要求に的確に応える仕様となっている。CLIK-Mateコネクターは、限られたスペース内に多数の信号線を収める必要がある機器に最適であり、安全な接触を維持しつつ、挿入力を低減する独自のチューニングフォーク端子設計を採用している点が特長である。
CLIK-Mateコネクターにおける「カチッ」という音によって接続の確実性が即座に確認できる点、自動基板配置の容易さ、そして一般家庭におけるユーザーでも簡単にセットアップできる利便性をPrusaは高く評価する。
このコネクターは、DIYユーザーによる誤挿入を防止する設計となっているだけでなく、表面実装技術(SMT)によるラインアセンブリの迅速化にも寄与しており、Prusaのエンジニアにとっては生産プロセスの効率化を実現する有力な手段となっている。
Prusaの製品全体を支えるmolexの多彩な接続ソリューション
さらにPrusaは、限られたスペース内でも信頼性を損なうことなく、電力供給と柔軟性を両立させるコンパクトかつ高性能なmolex製Micro-Fitコネクターの導入を進めている。加えて、molexの超マイクロ同軸RFコネクターは、高速データ通信やRFマイクロ波技術を支える他のモレックス製ソリューションとともに、BluetoothおよびWi-Fi機能の接続用途において活用されている。
現在、最大で16種類に及ぶCLIK-Mateコネクターが、Prusaのプリンター製造工程の合理化に貢献している。これらのmolex製コネクターは、2025年1月に市場投入された新型「CORE One」プリンターを含む、Prusaの全プリンター製品ラインにわたって採用されている。
また、molexのEasy-On FFC/FPCコネクターをはじめとする各種接続ソリューションや、カスタム仕様のコネクターソリューションについても、既存機種および今後の新型プリンターのサポート体制を強化する目的で導入が検討されている。
次世代ものづくりを支える協業体制、molexとPrusaの展望
molexとPrusa Researchの協業は、3Dプリント分野における両社の強みを結集し、次世代製品開発と生産性向上に寄与するものである。信頼性と操作性を兼ね備えたモレックスのコネクター群は、Prusaの高性能プリンター設計に不可欠な要素となっており、今後のグローバル展開やカスタマイズ需要にも柔軟に対応可能だ。両社の技術連携は、米国・欧州市場での製造基盤強化や製品ラインアップ拡充を加速させ、ユーザーにとっても利便性と拡張性の高いソリューションの提供へとつながっていくことが期待される。
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