Stratasys(イスラエル・レホヴォト)は、Nexa3D(アメリカ合衆国・カリフォルニア州)から一連の資産を取得し、AM業界における競争優位性を一層強化するための戦略的ステップを踏み出した。これにより、同社はポリマー系AMソリューション分野において、業界最大級かつ最も多様な製品群を擁するプレイヤーとしての地位を確立することとなる。結果として、製造業やヘルスケア、自動車産業など多岐にわたる分野において、顧客ニーズへの柔軟な対応が可能になる見込みだ。(上部画像はNexa3Dのウェブサイトより。出典:Nexa3D)
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Stratasys、Nexa3Dの高速DLP技術を獲得し量産対応AM開発を加速
この買収は、Stratasysが掲げる「産業用3Dプリンティングによる量産対応」へのミッションの一環であり、特に高速・高精度を特長とするNexa3Dの技術統合は、次世代の製造業向けAM技術の開発を加速させる要素となる。Nexa3Dは創業者であるアヴィ・ライヘンタルのもとで急速な成長を遂げた企業であり、一時はAM業界の注目を集めたが、近年は経営面での困難に直面していた。それでも、同社の高速DLP(Digital Light Processing)システムは依然として高い評価を受けており、多くのユーザーに利用され続けている。
DLPと材料押出技術の統合でStratasysのAMポートフォリオがさらに強化
今回の買収により取得したDLP技術は、Stratasysが保有するOriginシリーズの技術を補完するものであり、AMポートフォリオの一層の充実に寄与する。また、過去にEssentiumの買収によって得られたNexa3Dの材料押出(Material Extrusion)技術は、ストラタシスのFDM製品群におけるオープンマテリアルポリシーを強化する可能性を持つ。
iSQUARED AGがNexa3Dユーザーの継続利用を全面支援
Nexa3Dの既存顧客およびパートナーに対しては、Stratasysの完全子会社であるiSQUARED AGが移行期間中のサポートを担当する。同社はStratasys製品との互換フィラメント提供を契機に設立され、現在はストラタシスの主要サービス体制に統合されている。iSQUARED AGは、Nexa3Dの機器、部品、材料の使用継続を可能とするため、技術支援やサプライチェーン支援を通じて顧客の業務継続を支援する体制を整えている。
Nexa3Dユーザーに広がるStratasysのAMエコシステム
さらに、Nexa3Dのユーザーには、ストラタシスが提供する先端的なAMソリューションへの段階的移行ルートが提供される見込みである。たとえば、大量生産への拡張、高度なポリマー材料への対応、Stratasysの包括的なソフトウェアおよびサービスエコシステムとの統合といった新たな選択肢が提示される。このことは、既存顧客にとっての利便性向上だけでなく、新たなビジネス機会を創出することにもつながる。
本買収は、ポリマーAM市場における技術統合・拡張の象徴ともいえるものであり、今後のストラタシスの成長と業界リーダーとしての地位強化に向けた重要な布石である。
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