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多様な粉末に対応した最新型金属3Dプリンター「FormUp 350」を発表し、日本への展開加速

ミシュランの合弁企業であるAddUp(アダップ、本社:フランス)は、同社のLPBF(レーザー粉末床溶融結合)式金属積層造形装置「FormUp 350」(フォームアップ350)の最新機を発表した。FormUp 350はスケーラブルなモジュール型アーキテクチャを採用し、従来よりもレベルの高い生産性、再現性、安全性を実現。これにより、高品質な工業用部品を量産することができる。(写真はFormUp 350/出典:AddUp)

今回は、多様なパウダーに対応した新型金属3DプリンターFormUp 350の紹介とともに、AbbUPへの活動を通したミシュランの日本市場への展開強化の活動をお伝えする。

メーカーによるメーカーのために造られた産業用金属3Dプリンター「FormUp」の特徴

金属3Dプリンターの設計コンセプトはそのままに、高品質な金属積層造形を可能にした「FormUp」には、大きく3つの特徴がある。

1.プラットフォームを100%カバーし高品質でありながら高い拡張性がある
生産性を向上させるべく、ビルドプラットフォーム全域に照射可能で、同時使用可能な4基の500Wレーザーを装備している。また、不活性ガス削減上の削減、モニタリングによる自動リコーティングに基づく生産性を向上する役割を担っている。産業活用を想定した高品質な装置でありながら、高い拡張性によりR&Dアプリケーションから生産性の面でもニーズをカバーできる。

2.生産性を40%向上させる双方向コーティングシステム
ローラーとスクレーバー両方のコーティング機能を備えているため、微細な粉末から粗い粉末までが使用可能だ。この双方向コーティングシステムは単方向同システムと比べると、粉末散布サイクルを40%高速化している。これによって非生産的な時間を削減できる。

3.高いレーザー焦点と粉末の連続供給できるシステムを導入
3軸制御により、マルチレーザー製造に必要な要素である高いレーザー焦点精度を完備。さらに、AZO社との提携により、FormUp専用に開発されたAutonomous Powder Moduelは自動粉体管理が可能で製造中に閉じたループのなかで自動的に材料粉末を保管し、移動するだけでなく、再生やふるい分けも実行可能に。これにより生産量はもとより稼働そのものを中断させることなく、常に粉体を供給できる。

製造事例:軽量化と剛性を両立した航空機用部品

FormUp350製造事例 奥:長さ225 mm、手前:45 mm(出典:AddUp)

FormUp350 スペック一覧

スペック詳細
本体サイズ長さ2.55m×幅2.2m×高さ2.32m
ビルドサイズL 350 x W 350 x H 350* mm (~43 L)
ガスタイプアルゴンまたは窒素(酸素濃度をプログラムで制御可能)
層流0.5~3m/sの範囲で調整可能
パーツのプロパティ精度:最大0.1 mm
密度:最大99.99%
その他技術仕様・最大4x 500Wイッテルビウム連続ファイバーレーザー(1070 nm)
・監視用/HDが画像用カメラ
・粉末再コーティング機能
・製造後、最大200℃の冷却システム(空気/水)
・Autonomous Powder Module

ミシュランと3Dプリンター活用の歩み

仏クレルモン=フェランに本社を置く世界的なタイヤメーカー ミシュランは、10年以上前から3Dプリンター活用に取り組んできた歴史を持つ。具体的には、金属3Dプリンターを活用した複雑な部品や金型の独自レベルの専門知識設計と大量生産の開発を2006年から取り組んできた。

また、幅広い業界の顧客のニーズに合わせたオーダーメイドソリューションの販売を強化するために、2016年にAddUpを設立。ミシュランとフランスの工業エンジニアリング企業ファイブスのジョイントベンチャーとして誕生した。同社はこれまで航空宇宙、自動車、エネルギー、医療など幅広い業界において、工業用金属3DプリンターのFormUp 350 DMLS3Dプリンターなどを用いた金属3Dプリンティングソルーションを顧客ニーズに合わせて提供している。ミシュランは日本におけるAddUpの技術サポートを担い、技術営業サポートおよびデモパーツ造形から、装置の組立・試運転を通じて、アフターサービスまでを支援している。

同社は3Dプリンティング技術を活用したサスティナブル戦略も積極的に推進している。2019年には、Michelin Visionary Conceptと呼ばれる持続可能な3Dプリントコンセプトタイヤを発表した。(写真参照/出典:ミシュラン)

さらに、日本ミシュランタイヤは2021年7月に群馬県内の中小企業7社と共同で、3Dプリンティングに代表される積層造形技術に関する技術者を養成する連携組織「群馬積層造形プラットフォーム」を立ち上げている。ものづくりのデジタル化が進むなか、新たな技術を取り入れることで地元製造業の体質強化を図るのが狙いだ。(写真参照/出典:ミシュラン)

そして2021年6月、AddUpは航空機関連の製造オートメーション設備機械などを取り扱う株式会社富士インダストリーズおよび日本ミシュランタイヤ株式会社の3社間協業に関する覚書を締結。富士インダストリーズはAddUpの金属積層造形装置の国内正規販売元となり、国内展開を一層加速していく。

今後、ミシュランは「群馬積層造形プラットフォーム」と合わせ、「タイヤを超越した」サービス・ソリューションで日本の産業発展や新たな価値創造へチャレンジしていく。今後のミシュランの動向は要チェックだ。

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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