半導体資本設備生産に金属3Dプリンティング技術を用いる契約締結―ラムリサーチ/VELO3D
デジタル製造イノベーターのVELO3Dとラムリサーチ・コーポレーションは、今月初旬、半導体業界向け金属積層造形(AM)、すなわち3Dプリンティングのアプリケーションにおける新規材料・設計をめぐる協業を含む共同開発契約を発表した。
(写真は、VELO3D公式Webサイトより)
3Dプリンティング技術の進化―オンデマンドの電子回路基板まで
現在の3Dプリント技術のほとんどは、プラスチック素材や金属、セラミックといった物体の3Dプリントが中心だが、電子機器をオンデマンドで製造するための開発が着々と行われている。
事実、VOLTERA社製Voltera V-ONEや、イスラエルの3Dプリンティングエレクトロニクス企業Nano Dimensionなど電子機器の核とも言えるプリント基板をオンデマンドで生産することができる3Dプリンターが登場してきている。
またOptomecの3Dプリンターは、5軸システム搭載で、電子回路だけではなく半導体や抵抗などミクロレベルの電子部品をもプリントし、オンデマンドの電子回路基板を作り上げることが出来る。エアゾールジェットと言われる独自技術を搭載した本プリンターに、GEベンチャーズなどが生産と配備を目的とした投資を行っている。
ラムリサーチ/VELO3D契約締結について
ラムリサーチが生産する半導体製造装置の部品を、VELO3Dが「サファイア」プリンターで製造する。またVELO3Dは、そのための新しい金属合金もラムリサーチ向けに開発する。
以下、ラムリサーチおよびVELO3Dの声明を引用する。
ラムリサーチは、お客さまが日常使用のためのより小型・高速で機能と電力効率に優れた電子機器を構築できるようにする革新の推進力として積層造形を活用しています。この共同開発契約は、製品の設計と製造の限界を押し広げる新技術を継続的に追求するというラムの使命に沿ったものです。
ラムリサーチのグローバルオペレーション担当シニアバイスプレジデントを務めるケビン・ジェニングス氏
半導体製造は大量生産の最たる例の1つであり、ラムは原子レベルでの精密制御を達成するために最高レベルの再現性と一貫性を必要としている。
VELO3Dの創業者で最高経営責任者(CEO)のBenny Buller氏
このような要望に対し、VELO3Dは、当社の校正、計測、デジタルトレーサビリティーの能力により、金属3Dプリンティングの信頼性を提供することが可能だ。
ラムは最先端のマイクロプロセッサー、メモリーデバイス、数多くの関連製品タイプを創出する装置の生産に向けた継続的な革新の長きにわたる取り組みを行なっていますが、今回の提携関係はこの取り組みを促進することが狙いです。
VELO3D
カリフォルニア州シリコンバレーに本社を置くVELO3Dは、企業があらゆるものを製造出来るようにすることを目的としている。
同社のSapphire®システムは、品質保証の半導体マインドセットに基づいて構築されており、シリアル製造を通して再現性と信頼性を確保している。
ラムリサーチ
ラムキャピタルはラムリサーチのベンチャーグループであり、革新的な半導体装置の技術からAI技術およびインダストリー4.0技術まで、影響の大きい問題に取り組む革新的企業に投資している。
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