Ultimakerが3Dプリンター「S5」で、金属造形を可能にするキットの提供を開始
オランダに拠点を置く3DプリンターメーカーのUltimaker社が、自社の最上位モデルであるFFF方式3Dプリンター「S5」で金属製パーツを造形可能にするパッケージ製品「Metal Expansion Kit」の提供を開始すると発表した。
アメリカ、中国、EU、イギリスで販売を開始する見込みだ。キットの内容は国別に異なるとのこと。
(画像は「Ultimaker-Metal-Expansion-Kit」を用いて3D印刷した金属部品 出展:Ultimaker社)
「Metal Expansion Kit」の特徴
Metal Expansion Kit は、Ultimaker社の3Dプリンター「S5」専用のキットだ。FFF方式(熱溶解積層方式)の3DプリンターであるS5は、フィラメント状の樹脂を熱で溶かしながらノズルから押し出し、一筆書きのように樹脂を積み上げて造形物を作成する。Metal Expansion Kitを用いることで、耐久性の高さで知られる、熱可塑性プラスチックでも不可能な、高耐熱性を持つ金属製パーツの造形が可能になる。
Metal Expansion Kitには、NFC(近距離無線通信)を通じて3Dプリンターが印刷素材を自動認識するためのパーツが付属している。これにより、1台の3Dプリンターで樹脂の印刷と金属の印刷を効率的に切り替えることが可能だ。
Metal Expansion Kitの内容は、金属造形を行う際に必須となる金属素材と専用のプリントコア、造形パーツ用包装と後処理のクーポン券、スライサー用ソフトウェア、Ultimaker社が運営するeラーニングコンテンツへのアクセス許可などとなっている。
金属素材は3Dプリンター用の素材を開発しているドイツのBASF Forward AM社製だ。eラーニングコンテンツでは、3Dプリントのためのヒントやコツ、ワークフローなどが学べる。こちらもBASF Forward AM社と共同で開発されたものになる。
Ultimaker社のプロダクトマネージャーであるAndrea Gasperini氏は、Metal Expansion Kitについて、以下のように述べている。
「Ultimaker社が提供するMetal Expansion Kitは、工具、治具、交換部品、プロトタイプ開発、補助部品といった非市販部品の印刷に特に適しています。このキットは、オープンプラットフォーム上で完全かつ検証済みの3Dプリントワークフローを提供し、通常は自社で金属溶融フィラメント製造を行うことでしか実現できなかった品質とリードタイムを、低いコストで可能にします。総所有コストが低く、一般的でない補助部品やツールを使用した場合よりも最大90%節約できるため、1年以内に投資収益率(ROI)をプラスにした例もすでにあります。」
3Dプリントの業界では、プリンターそのものの性能はもちろんのこと、付加価値をつけるために利用する素材や、設計手法や造形用データの準備、後処理、試験工程などの3Dプリントに関わる領域の発展も目覚ましいものがある。
ShareLabNEWSでは過去に、3Dプリンターの周辺領域の進化について、展示会レポートをお届けした。ぜひそちらも参照してほしい。
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