とてつもない速さ!従来比100倍の高速光造形の模様
3Dプリンターの発展がすごい、とほぼ毎日情報をお届けしているShareLab編集部だが、この高速造形には度肝を抜かれたので驚きを共有したい。
特殊な光造形方式で溶液槽から造形物を持ち上げる上記の画像はAFPBBのスクリーンショット。副社長さんのコメントも字幕付きで表示されているので、ぜひご覧いただきたい。
特に、動画でこの靴が引き出される「早さ」に注目!!
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積層造形に詳しい人はワークへの加工内容を説明する際に「母材に積層造形で追加形状を生やす」というような表現を使う時があるが、この生やすという表現よりは、造形材料の液体層に沈んでいる靴底を「持ち上げる」ようなスピード感で靴底部分が造形されているとお感じになるのではないだろうか。引き上げられた靴底を材料溶液が滴る姿に、本当に液体から靴底を瞬時に造形したんだな、、、と驚きを隠せなかった。
中国の3Dプリンターベンチャーが開発
このプリンターを開発したのは中国と北米に拠点を持つ LuxCreo社で、同社は中国で数々の受賞歴をもつ3Dプリンターの新興企業。独自特許をもつLEAP™ (Light Enabled Additive Production) と呼称している独自の光造形技術は「コンピュータ制御で造形材料液に特殊な光を当てることで、従来の100倍の速度で造形を可能にする」という説明がある。従来のレイヤーごとに層を積み重ねる過程が目に見える造形とは異なり、シームレスに「持ち上げる」ようにワークを造形する。公称スペックでは60分で120cm分造形できるとのことで、十分量産ベースにのせられそうな速度だ。
価格・日本での商品展開は?
「造形領域は190㎜×120㎜×420㎜、120cm/時間で造形できる」と記載があるとおり、動画や写真で見る限り、スタイリッシュな筐体はウォーターサーバーを2周りくらい大きくしたほどのサイズ感だ。 気になる価格や日本での展開に関しては、現在確認中。続報があればまた記事中で報告をしていきたい。
破壊的なイノベーションに備えるべき。
1時間に数センチしか造形できなかった樹脂3Dプリンターが3DシステムズのFigure4のように1時間に10センチ、本記事で紹介しているTrixのように100センチ以上造形できる時代が到来した。数十万円台の機材ですら昔のパソコンのように数年単位で性能を倍以上に伸ばしている。3Dプリンターはなんでもできる魔法の箱ではないが、破壊的なイノベーションになりうる可能性を秘めている。
他社が取り組む前に自社が新しい価値を生み出せる未来を。
培った技術優位がこうした新しい技術によって覆されるリスクに立ち向かう必要がある。同じ技術で対抗するのもよし、既存の技術やアプローチを洗練させるのもいい。だが積層造形という新しい技術は産業ベースで着実に影響力を強めている。本格的な導入は難しくても、情報収集と自社取扱い製品での導入可能性に関しては常に検討しておくべきと思う。
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。