FabCafe Osaka、2025年4月大阪・天満に開設 ― ロフトワーク社

株式会社ロフトワーク(東京都渋谷区、以下、ロフトワーク社)は、2025年4月に大阪・天満に「FabCafe Osaka(ファブカフェ オオサカ)」を開設する。これは、FabCafeの世界13拠点目であり、日本国内では6拠点目となる。カフェのコンセプトは「アンフォルム」。蒸留器を使って新たなカルチャーを育む場であると同時に、3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタルファブリケーション技術を活用し、ものづくりの可能性を広げる。企業・クリエイター・アーティストが集い、デジタルとリアルを横断しながら、新たなイノベーションの拠点を生み出すことを目指す。(上部画像はプレスリリースより。出典:ロフトワーク社)
目次
クリエイターと共創するものづくりの拠点
FabCafeは2012年に東京・渋谷で創設され、タイ、スペイン、フランス、メキシコ、マレーシアなど、世界各国に展開してきたクリエイティブコミュニティである。このコミュニティは、多様なクリエイターとの共創を通じて、新たなものづくりを実践し、社会やパートナーの課題解決に取り組む場を提供する。各地に広がるFabCafeは、地域ごとの文化や技術と密接に連携し、それぞれの特色を活かしたプロジェクトを推進している。
伝統と革新が交差するイノベーション拠点
大阪は、多種多様な産業が集積する地であり、ものづくりの基盤が豊かに形成されている。また、国際的なビジネス拠点としての潜在力も高く、商業的な合理性とイノベーションを受容する文化を有している。歴史的にも、大阪は古くから文化的な発展を遂げてきた都市であり、難波宮が置かれた都であったほか、江戸時代には「上方文化」の中心地として栄えた。現在の商業都市としての側面とは異なり、洗練された町人文化が根付き、その精神は今もなお大阪の伝統や日常に息づいている。
FabCafe Osakaの開設により、企業、クリエイター、研究者、アーティストが集い、デジタルとリアル、伝統と最先端技術、理論と感性が交差する新たなイノベーションの拠点を創出することを目指す。
FabCafe Osakaのコンセプト「L’Informe(アンフォルム)」
FabCafe Osakaが掲げるコンセプトは、近代から現代の美術思想に由来する「L’Informe(アンフォルム)」である。これは、既存の形式に囚われない美の探求を意味し、地域の歴史や文化に内在する価値を再発見することで、新たなカルチャーを創造することを目的としている。形を持たない「感性」や「情緒」に焦点を当て、創造的な体験の場を提供する。
3Dプリンターが拓く新たな創造の可能性
FabCafe Osakaでは、3Dプリンターを活用したワークショップやイベントも開催予定であり、デジタル技術と手仕事が融合する新たな創造の場を提供する。初心者からプロフェッショナルまで、幅広い層のクリエイターが集まり、アイデアを共有しながらものづくりに取り組むことができる環境を整える。これにより、FabCafe Osakaは、単なるカフェにとどまらず、次世代のものづくりを牽引する拠点として機能することを目指している。
大阪の水と蒸留技術を活かした新たな文化創出
FabCafeでは、これまで3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーション技術を活用し、ものづくりの可能性を広げてきた。FabCafe Osakaにおいては、「L’Informe(アンフォルム)」の概念を具体化するためのツールとして、“蒸留器”を導入する。この蒸留技術を活用し、香りを用いた飲食の提供や、五感を刺激する体験を通じて、来訪者が自身の感性を研ぎ澄ませ、新たな可能性を見出す場を作り出す。
蒸留とは、混ざり合った要素を分離し、本質を抽出する技術である。例えば、植物を蒸留することで、時間の経過とともに変化する香り成分が揮発し、水性と油性のエッセンスに分離される。この技術は、原油の精製や香水の製造など、日常生活の中に密かに浸透している。FabCafe Osakaでは、これを創造のプロセスに応用し、目に見えないものを可視化し、捉えきれない感覚や情緒を探求する。蒸留器は単なる道具ではなく、新たな発見を促すメディアとなる。訪れる人々が自身の感性を「蒸留」し、研ぎ澄ませることで、新たな創造の可能性を見出す場を提供する。

都市とローカル文化が交錯する天満エリア
FabCafe Osakaは、大阪天満宮や淀川流域の文化に根ざした天満・南森町エリアに位置する。このエリアは、日本一長い商店街である天神橋筋商店街、上方落語の定席「天満天神・繁昌亭」など、大阪ならではの文化や歴史を感じられる場所である。また、大阪駅から地下鉄で1駅というアクセスの良さも魅力の一つである。
FabCafe Osakaの開設により、都市の利便性とローカル文化が交差するこのエリアで、新たな共創の場が生まれることが期待される。企業やクリエイター、研究者、アーティストが集い、多様な視点を交差させることで、これまでにないイノベーションが創出されることを目指す。


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