OECHSLERとCARBONの契約更新、3Dプリンターサブスクリプションモデルの強化へ
OECHSLERとCARBONは3Dプリンティングに関する技術開発契約を更新し、製品とプロセス開発に関する戦略的パートナーシップの拡大を決定した。
CARBONのサブスクリプションビジネスとは
CARBONは米カリフォルニア州に本拠を置く3Dプリンターメーカーだ。アディダスと協業し、3Dプリントミッドソールを開発したことで注目を集めた。
アスリートデータ×3Dプリンターから生まれたadidasのランニングシューズ「4DFWD」
CARBONは、3Dプリンターの販売だけでなく、サブスクリプション形態(一定期間の貸出サービス)のビジネスも展開している。
サブスクリプションの場合、ユーザー側は購入やメンテナンスに必要なコストに関して財務予測が容易であり、部品交換などのサポートを受けやすい。
また、最大の利点は、バージョンアップによるパフォーマンス改善の恩恵を常に受けられることだ。3Dプリンター市場は変化が激しく、新たな機種、機能、プリント材料が次々に追加される。サブスクリプションであれば、これら更新に追加料金が必要なく、常に最新の機能を利用することができる。
120台のCARBON製3Dプリンターが稼動する「OECHSLER」の太倉工場
CARBONが展開するサブスクリプションビジネスの最大顧客の1つが、中国太倉に工場を置くOECHSLERだ。
1,800平方メートルの敷地を誇る太倉工場では、120台のCARBON製3Dプリンターが稼動し、連続生産が行われている。ここでは、靴底、アメリカンフットボールのヘルメット用クッション、自転車のサドルなどが製造される。
この度、OECHSLERはCARBONとの3Dプリンターサブスクリプション契約を更新し、連携を強化することで生産能力を拡大し年間200万を超える部品の製造を目指すとのこと
さらなる拡張へ
OECHSLERは、2016年から2017年にかけて数多くの産業用3Dプリンターを導入し、洗浄や後工程までを含めた3Dプリントワークフロー全体に渡って広範な知識を吸収している。こうした知識は3Dプリンター開発を進めるCARBONにとっても有益となる。
両者の連携は、3Dプリンターによる連続生産能力を高めて、新しい市場分野を開拓することになるだろう。
両社の協業は、既に目に見える結果を残している。
アウドドア用品メーカーのJack Wolfskinは、3Dプリント技術を駆使して、ハイキングパックの重量、耐久性、通気性を改善することに成功したが、この事業はOECHSLERとCARBONの支援を受けている。完成した3DAeroriseCarry Systemは、3Dプリントで作られた中空構造が通気性を高め、背中の温度を5度下げることを実証した。
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