SOLIDWORKSやCATIAから直接見積―ダッソー・システムズ
「3DEXPERIENCE® Marketplace」という名称でダッソー・システムズ社が積層造形(3Dプリント)、CNC加工、レーザー切断、などの加工を行う加工業者を集めたポータルサイトを提供している。なんでもSOLIDWORKSやCATIAといった 3次元CADソフトウェアから直接見積りを依頼できるとのこと。
2020年2月21日現在、日本からの参加企業はまだないが、180社以上の企業体と13,000台の生産設備をネットワーク化し、見積を取得できる取り組みだ。
製造能力 (プロトタイプ、小規模連続生産、連続量産) 、製造国・地域、見積形式(直接見積か見積依頼か)、公差、納期、製造能力や、取得している認定(ISO9001、AS/EN/JISQ9100、EASAPart21Gなど)から、加工パートナーを絞りこむことができる。
AMで課題とされる品質に関して、検索条件に取り込んでいる点が、ダッソー・システムズ社の特徴といえる。「公差」を造形サービス事業者に約束させ、「取得認定」を選択させることは、サービスビューロにとっては高いハードルであるはずだ。しかし、検索しながら安心な事業者との接触を実現するためには有効な方法なのだろう。
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まだ日本の事業者は登録されていないが、試しに検索してみた。
日本の事業者が登録されているか調べたところ、国の欄で日本を選択する事はできるが、該当件数が0件になってしまった。(2020年2月21日現在)しかし、登録事業者になる、という導線が用意されているので、特定の条件を満たせば、このプラットフォームに登録して全世界から発注を受けられることになる。
連続生産に対応していて、直接オンラインから見積ができるアメリカの加工パートナーで、AS/EN/JISQ9100:2009の認証を持っている企業を絞り込むと、American Additive Manufactureingがヒットした。
詳細画面を見るとその加工パートナーの保有している機材やサービス内容、企業紹介を確認できる。
実際に企業を選択して、見積依頼に進む前で、ログインを求める画面が表示された。日本で活動している企業は内容だが、画面は日本語に対応している。IDには3DEXPERIENCEのIDとSOLIDWORKSのIDが利用できるようだ。
オンライン見積サービスは日本でも多数存在
3Dデータを作り、手元の3Dプリンターで造形試験する。その後、問題なければ、小ロット生産できる工場に発注し、品質を確かめてから、連続生産を発注する。
こうした一連の流れをオンラインでつなげていくエコシステムを整備するための取り組みが様々なプレイヤーによって進められていて、日本でも個別のサービスビューロがオンラインでの見積には対応しているし、複数の加工業者への一括見積を行うプラットフォームは存在している。
個別のサービスビューロの見積サービスでいうと、DMM.makeは独自にjavaベースのシステムを開発しているように見受けられるし、3D Printing Corporation社は、ドイツのEOS社系VC、AM Ventures社の支援を受ける3YOURMIND社のASP利用をしているように見受けられる。
複数の加工業者を横断検索でき、AMにも対応しているサービスでいうと、日本ではカブク社が挙げられるだろう。AMオンライン見積プラットフォームを展開しているが、同社は自社開発のシステム基盤を展開している。AngularとZoomを使って独自開発しているようだ。
「設計している間に部品を発注」は必要?
こうしてウェブ上での見積・発注プラットフォームはすでに存在しているわけだが、もう一歩進めて、わざわざブラウザを開いて画面遷移しながら見積依頼するのではなく、直接アプリケーションの画面から見積り依頼ができる世界観を作っていくというのが、ダッソー・システムズの狙いのようだ。
「なんだか便利そうだけど、設計者がその場で見積をとる必要はないのかも?」という感想もあるだろうし、「設計者と造形者が同じプラットフォーム上で作業して情報をシェアしていく世界観を見越しているのだとすれば、当然の流れ」と感じる人もいるだろう。個人的には便利になるならどんどん進めてほしい。でも使い勝手がどうなのか非常に気になるところだ。
気になるUIは?手数料は?日本での対応は?
現状プレスリリースなどでも紹介されていないので、SOLIDWORKSやCATIAの画面からどのように見積依頼や発注ができるか未確認だ。設計製造ソリューション展2020の会場でダッソーの方にデモ画面が確認できるか伺ってみたが、展示用にはご用意がなかった。日本のサービスパートナーに関しては、複数社に打診中で手数料は現在は設定がない、とのことだった。また、続報が入り次第ご報告したい。
関連情報
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。