キーエンス、産業用3Dプリンター「GX-1000シリーズ」を発売

2025年8月22日
産業用3Dプリンター「GX-1000シリーズ」

株式会社キーエンスは、同社初となる産業用3Dプリンター「GX-1000シリーズ」を発表した。本シリーズは熱溶解積層方式(FFF)を採用し、高精度造形と短時間での造形完了を両立。試作から小ロット生産まで、幅広い製造ニーズに対応できる性能を備える。(上部画像は産業用3Dプリンター「GX-1000シリーズ」出典:キーエンス)

高精度・高速造形で複雑形状にも対応

GX-1000シリーズは造形エリアの拡大や積層ピッチの最適化、高出力レーザーによる高速造形を特徴とする。これにより、従来の樹脂系3Dプリンターや金属加工機では困難だった複雑形状・高精度部品の短期間製造を可能にした。さらに、造形中の状態をリアルタイムで監視するモニタリング機能や、自動パラメータ最適化機能を標準搭載。造形精度のばらつきを抑え、失敗率を低減することで、品質の安定化を実現している。

国内製造業のニーズに合致

近年、日本の製造業はサプライチェーンの変動や人材不足、短納期要求への対応など課題が山積している。経済産業省も金属積層造形を「ものづくり基盤技術」として強化する方針を打ち出しており 、設計から後加工・検査までを統合できるソリューションの需要が高まっている。GX-1000シリーズはこうした背景の中、デジタル技術を活用した柔軟かつ迅速な生産体制の構築を後押しする製品といえる。

高精度分野への展開と市場競争の加速

キーエンスは、自動車、航空宇宙、医療機器、精密機械など、高精度と短納期が求められる分野での展開を強化する方針を明らかにしている。特に、複雑形状やカスタムメイド部品が必要な領域では、FFF方式でも金属部品に迫る精度と耐久性が求められており、同シリーズはそうしたニーズにも応える設計となっている。

また、世界的には造形速度の高速化やマルチマテリアル対応、AIを活用したプロセス最適化が進んでおり 、国内メーカーの新規参入は市場競争を一層活発化させる可能性がある。キーエンスの参入は、これまで金属系や大型樹脂系の装置が中心だった国内産業用3Dプリンター市場に新たな選択肢を提示し、ユーザー企業の導入判断にも影響を与えるだろう。

統合型生産システムとしての位置付け

GX-1000シリーズは単なる高速・高精度3Dプリンターではなく、製造から検査、材料管理までを包括的にサポートする「次世代型生産システム」として設計されている。今回の発売は、日本の産業用3Dプリンター市場において新たな競争環境を形成し、製造業の生産性向上やサプライチェーン強化にも寄与することが期待される。今後の市場動向やユーザー企業の反応が注目される。

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