「OSAKA FUORI SALONE 2025」のロゴ。

グローバルにインクジェットプリンターや3Dものづくり機器を展開するローランド ディー.ジー.株式会社(静岡県浜松市、以下、ローランド ディー.ジー.)は、空間プロデュース大手の株式会社乃村工藝社(東京都港区、以下、乃村工藝社)と共同で、2025年9月10日から16日まで開催される「OSAKA FUORI SALONE 2025」に出展する。同イベントは「陶酔するライフスタイル」をテーマに掲げ、建築・デザイン関連企業がアート性の高い製品を紹介する展示会で、今回が初開催となる。会場は高島屋大阪店の特設フロアを中心に、参加企業のショールームがサテライト会場として展開される。(上部画像は「OSAKA FUORI SALONE 2025」のロゴ。出典:ローランド ディー.ジー.、乃村工藝社)

パウダー3Dプリンターで陶器を創出

両社は今回、ローランド ディー.ジー.が2025年1月に発売したパウダー3Dプリンター「PB-600/PB-400」で出力した陶器製インテリア作品を披露する。出展作は乃村工藝社の研究開発組織「未来創造研究所 NOMLAB」に所属するデザイナー・吉田 敬介 氏がデザインを担当。日本の伝統的な文様「立湧(たてわく)」をモチーフにした「Prototype Pattern 立涌」を含む計4点を展示する。

デジタル精度と職人技の融合

「Prototype Pattern 立涌」は、平面的な文様をプログラムにより立体化し、パウダー3Dプリンターで精密に造形したものだ。最終工程では職人が素焼きの陶器に釉薬を施すことで、素材の揺らぎや深みが加わり、光の当たり方によって豊かな表情を生み出す。同じデザインは二つと存在せず、デジタルの正確さと手仕事の感性が響き合う作品となっている。両社はこの取り組みを通じ、セラミックを新しい内装建材として提示し、デジタル技術と伝統工芸の融合による新たなインテリア表現を提案していく考えだ。

「Prototype Pattern 立涌」
「Prototype Pattern 立涌」(出典:ローランド ディー.ジー.、乃村工藝社)
パウダー3Dプリンターで製作したサンプル
パウダー3Dプリンターで製作したサンプル(出典:ローランド ディー.ジー.、乃村工藝社)

NOMLABが牽引する空間革新

乃村工藝社は、企画・デザインから施工、運営までを担う総合プロデュース企業であり、研究開発組織「未来創造研究所」では未来洞察やサステナブルデザインなど6つのテーマで活動を推進している。その一翼を担うNOMLABは、多様なテクノロジーと創造性を活かしながら、空間価値の更新に挑んでいる。吉田氏は国内外で建築やプロダクトを手掛け、広州の商業施設ファサード「Neo Chinese Pattern」にもパウダー3Dプリンターを活用するなど、デジタルと素材の融合による表現で注目を集めてきた。

デジタルものづくりを牽引

一方のローランド ディー.ジー.は「世界の創造(ワクワク)をデザインする」を掲げ、インクジェットプリンターをはじめとするデジタル製造機器を開発・販売。広告・看板分野からインテリア、パーソナライズグッズまで幅広く展開している。近年はクラウドサービスによる生産性向上や、中小製造業のDX支援にも取り組んでおり、デジタルファブリケーションの可能性を広げている。

デジタル造形と職人技が拓くインテリアの未来

今回の共同出展は、パウダー3Dプリンターを内装建材製作に応用する実証的な試みであり、デザイナーと職人、そしてデジタル造形技術の協働による新しいものづくりの可能性を提示する場となる。イベントを契機に、両社はインテリアデザインの新たな潮流を国内外に発信していく方針だ。

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