アーブルグ、積層造形事業から撤退へ

2025年9月25日
アルブルグのプレスリリースより。

アーブルグ(ドイツ・バーデン)は、2025年12月31日をもって積層造形(AM)事業から撤退する。既存顧客および「フリーフォーマー」ユーザーに対するサービスおよびスペアパーツの提供は、今後も確実に継続される。(上部画像はアーブルグのプレスリリースより。出典:アーブルグ)

アーブルグ・アディティブ

「この事業上の決定は、現行の市場状況および経済環境を慎重に評価・検討したうえで下されたものである」と、アーブルグ諮問委員会会長アルミン・シュミーデベルク博士は述べている。フリーフォーマー産業用製造システムおよび関連するアーブルグ・プラスチック・フリーフォーミング(APF)プロセスは、2013年のK見本市での発表以来、その独自の技術的特徴によって業界内で注目を集めてきた。しかし、この事業分野において長期的に経済的目標を達成することはできず、また世界の3Dプリンティング市場全体も当初の期待どおりには発展しなかった。

世界規模で顧客サポートを継続

それでも既存のAM顧客およびフリーフォーマーユーザーは、アーブルグのブランドメッセージ「Wir sind da.(私たちはそこにいる)」を引き続き信頼できる。今後もアーブルグが直接全面的にサポートを提供し、スペアパーツの安定供給や既存フリーフォーマーの包括的なサービスを保証する。ただし、今後アーブルグは展示会、イベント、シンポジウムには参加しない方針である。

従業員と専門知識を社内に引き継ぎ

販売、開発、応用技術、組立の分野に所属する約40名のアーブルグ・アディティブ従業員には、アーブルグ本体に移籍する機会が与えられる。これにより顧客は、経験豊富で信頼できる担当者に引き続き相談できる体制が維持される。

積層造形からの撤退が示す市場の現実

アーブルグの積層造形事業は、独自技術によって業界に新たな可能性を提示した点で大きな意義があった。しかし、市場の成長鈍化や事業採算性の壁を乗り越えることはできなかった。フリーフォーマーとAPF技術は今後も評価され続ける一方で、アーブルグは射出成形機メーカーとしての本業に軸足を戻し、蓄積された知見と人材を活かしながら顧客支援を継続していく。今回の撤退は、積層造形市場の現実と今後の方向性を示す象徴的な事例といえる。

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