プロメシアン、DED方式3Dプリンターによる金属補修部品で実車走行試験を実施 補修技術の社会実装へ前進

2026年2月12日
出典:プロメシアン
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プロメシアン株式会社(東京都港区、以下、プロメシアン)は、アライ技研株式会社および桑原冷熱株式会社との共同プロジェクトにおいて、DED方式3Dプリンターで補修した金属部品を実車に搭載した走行試験を実施した。補修用途に特化した金属3Dプリント技術の社会実装を見据え、実使用環境に近い条件で耐久性と機能を検証する取り組みである。

交換前提の構造が抱える課題

産業機器や自動車に使用される金属部品は、損傷時に交換が前提となるケースが多い。その結果、廃材の発生、補給品在庫の増大、部品供給の遅延といった問題が生じる。近年は部品の長期欠品やサプライチェーンの不安定化も重なり、「壊れたら交換」から「現場で補修しながら使い続ける」方向への転換が求められている。今回の実証は、その実現可能性を具体的に検証するものである。

3社連携で構築した補修プロセス

本実証は3社の技術を統合することで実現した。アライ技研が持つ自動車部品補修の知見、桑原冷熱による実務的な3Dスキャンおよび設計能力、そしてプロメシアンの金属DED補修技術を組み合わせ、従来の検査工程と整合性を持つ補修プロセスを確立。単なる肉盛りではなく、品質保証の観点を織り込んだプロセス設計がポイントである。今後は自動車分野にとどまらず、産業機械やインフラ分野への展開も視野に入れている。

出典:プロメシアン
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技術のポイント

1.補修に特化したDED方式3Dプリント(国内初の実車走行実証)

従来の金属3Dプリンターは新規造形用途が中心であった。今回の技術は「補修」に特化している点が特徴である。損傷部位を三次元スキャンで把握し、必要箇所のみを積層して復元する。部品全体を作り直すのではなく、欠損部のみを再生するアプローチである。

2.既存検査工程との整合性を確保

デジタルツインを切断した断面観察により内部欠陥の有無を確認。さらに要素試験機による高負荷試験を実施し、機能面で問題がないことを評価した。外観だけでなく内部品質と強度特性まで確認している点が、実用化に向けた重要なステップである。

3.実車走行による耐久評価

補修した金属部品を実車に搭載し、一定距離の走行試験を実施。実使用環境を想定した条件下で耐久性と機能を評価した。本実証条件下においては、実用上の問題は確認されなかったとしている。ただし、結果は現時点の条件に基づくものであり、今後さらなる検証を進める予定である。

今後の展望

プロメシアンは今回の実証を起点に、補修用途に最適化したDED方式3Dプリント技術の高度化を進める。また、現場導入を前提とした補修プロセス全体の設計を進め、段階的な実装を図る方針である。展開対象は自動車にとどまらない。産業機械、プラント、インフラ分野など、補修ニーズが高い領域への拡大を見据える。

シェアラボ編集部コメント

金属AMは「造形」から「補修」へと応用領域が広がりつつある。特にDED方式は既存部材への追い盛りが可能であり、部品ライフサイクル延伸の観点で有効な選択肢となり得る。

今回のポイントは、実車走行試験まで踏み込んだ点にある。内部欠陥評価や高負荷試験に加え、実使用環境での検証を実施したことは、補修ビジネスの信頼性構築において重要な一歩である。

今後は、品質保証スキームの標準化や適用範囲の明確化が普及の鍵を握るだろう。

用語解説

■ DED(Directed Energy Deposition)方式
レーザーやアークなどの高エネルギー源で金属粉末やワイヤを溶融しながら積層する金属3Dプリント方式。既存部材への肉盛りや部分補修に適しており、大型部品やリペア用途で活用が進んでいる。

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