抗ウイルス・抗菌機能をもった「3Dプリンター用フィラメント」を開発
DIC株式会社(以下、DIC)は、抗ウイルス・抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料(以下、フィラメント)を開発したことを発表。抗ウイルス・抗菌性に作用するフィラメントの開発は国内初である。
(写真:フィラメント/引用:DIC)
開発の背景
成長する3Dプリンター材料市場と消費者の要望に応じて開発
3Dプリンター材料市場は、造形方法における技術革新の進展や材料の多様化・高機能化、造形品の試作品から最終製品へのさらなる適用拡大といった要因から大きく伸長している。世界市場の成長率は2018年から2023年まで年平均+21.2%で推移する見込みであり、2023年の市場規模は約4,751億円になると予測され、注目度が高い市場である(矢野総合研究所調べ)。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下においては、消費者の衛生面への関心の高まりから医療施設や公共施設だけでなく日常生活のあらゆる場面においても、抗ウイルス・抗菌製品の使用を求める声が多く上がっている。そのため、今回開発された3Dプリンタ向けフィラメントは抗ウイルス・抗菌機能を有した熱可塑性ポリウレタン樹脂(以下、TPU樹脂)を採用した。
新たなフィラメントの特徴と今後の活用用途
国際標準化機構(ISO)が規格する抗ウイルス性および抗菌性の国際標準に準じた試験において効果が確認されており、製品の表面に付着した特定のウイルスや菌の増殖を抑え減少させることが可能。
TPU樹脂は柔軟性や耐摩耗性を有することから、フェイスシールドやマスクなど医療や衛生用途での活用が期待される。それ以外にもウイルス感染対策が求められ、かつお客様のニーズに応じてカスタマイズが必要な造形品への展開が可能。今後は、電子・電気、スポーツ、日用品、住宅・建材、自動車など幅広い業界への展開を視野に入れ、2021年度中の販売を目指す。
DICグループとは
DICは印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアの化学メーカー。3Dプリンター用材料において光造形用のコンパウンド材料を展開している。今回、熱可塑性プラスチック材料をラインナップに加えることで新たな事業の基盤化を目指していくとのこと。
関連情報
3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。