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環境に優しいリサイクルフィラメントを使用した3Dプリンター企業の取り組み-AiBuild社

ロンドンを拠点とする人工知能(AI)とロボット3D印刷開発者のAi Buildは、リサイクルフィラメントを利用した環境に優しい取り組みを推進している3Dプリンターの注目企業である。(写真はreflow社提供のリサイクルフィラメント/出典:reflow)

今回、All3DP社が実施したAiBuild共同創設者兼COOのMichailDesyllas氏へのインタビューにて、リサイクルフィラメントを採用した理由や今後材料の特性を生かした事業展開についてご紹介する。

大規模3Dプリント技術を展開する「Ai Build」

まず、3Dプリンター業界で注目されているAi Build社についてご紹介する。
2015年にDaghanCamとMichailDesyllasによって設立されたAiBuildは、AIを活用したSaaSプラットフォームであるAiSyncを開発。これにより、工場は自動車部品や航空宇宙部品などの大規模な3D印刷を驚異的な速度で提供することが可能となった。

ソフトウェアプラットフォームの発売以来、Ai Buildの技術は、自動車・航空宇宙・防衛の各セクターの複数のメーカーに採用されている。まだ若い会社でありながら、AIを活用したプラットフォームにより、顧客の人件費を90%削減し、失敗した印刷試行を70%削減し着実に実績を重ねている。また最近では、数百万ドルの資金提供を行い、航空宇宙および自動車での大規模3Dプリントを加速させると発表し注目を集めている。今後はより多くのティア1メーカーにリーチできるように事業を展開していくとのこと。

AiSyncソフトウェア、AiMakerロボット押出機、AiCell加熱チャンバーエンクロージャーを含むAiBuildのプラットフォーム。
AIを活用したSaaSプラットフォームAiSyncを活用することで大型造形も驚くべきスピードで提供可能(出典:Ai Build)

リサイクルフィラメントの採用背景

Ai Buildは製造のサーキュラーエコノミーだけでなく、環境への配慮も考慮し、すべてのプロジェクトで使用されるリサイクル材料を推進するため、3Dプリンターのためのエコシステムプラットフォームを構築している。なお、使用されるリサイクル材料はreflow社より提供されたものを使用。reflow社は、リードタイムが短くフィラメントの品質が高いため、Ai Buildが選定したサプライヤーである。

これまでに処理したプロジェクトの約60%はリサイクル素材で実施。10,000キロ以上のリサイクルフィラメントを処理しており、GHG排出量を劇的に削減、温室効果ガスの生産と原料に約70%の影響を与えているとのこと。

さらに、顧客の環境への興味は敏感で、注目度は年々増加している。Ai Buildはパートナーとしてリサイクルソリューションを提供することで、特に建設業界や、航空宇宙などの規制の厳しい業界でさえ競合との優位性が高まるとインタビューで語っている。企業戦略としても環境へ配慮されたリサイクルフィラメントは重要度が増していることがうかがえる。

リサイクルフィラメント1キログラムは、79本の再利用されたペットボトルに相当する(出典:reflow)

リサイクルフィラメントの今後の展望

リサイクルされた材料を使用する場合、分子レベルから大規模な印刷部品まで用途に応じた段階的な調整が必要になる。適切なパートナーと目標パフォーマンスを達成するまで多くのテストと反復を通した、材料のアップデートが重要となる。

そのため、リサイクルフィラメントを使った安定的な品質提供は時には困難である。しかし、先ほど述べたようにリサイクルフィラメントの需要が高まるにつれて、リサイクルフィラメントの使用用途・品質改良は過去5年間で増加してきている。今後は、特に航空宇宙、自動車、エネルギーなどの業界での高性能要件について、可能性の範囲を広がっていくのではとAi Buildは語っている。

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リフローのリサイクルフィラメントは、コーンスターチと埋め立て地から救出されたリサイクル食品包装に由来(出典:reflow)

今後、環境に配慮されたリサイクル材料の使用は、製造コスト削減や安定供給など課題は多く残るものの、企業として長期的なメリットが多くあることがうかがえた。3Dプリンターの材料の多様性に今後も期待したい。

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シェアラボ編集部

3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。

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