熱伝達および積層造形(AM)技術企業であるConflux Technology(オーストラリア・ビクトリア州、以下、Conflux)は本日、ハイパーカーメーカーのPagani Automobili S.p.A.(ドイツ・バーデンタリア・エミリア=ロマーニャ州、以下、Pagani)との最新の協業を発表した。本協業は、トランスミッションの排熱性能を向上させることを目的としている。(上部画像はConfluxのプレスリリースより。出典:Conflux)
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究極の走行性能と環境性能を両立した新世代ハイパーカー
Paganiの最新ハイパーカー「Utopia」は、卓越した工学技術とドライバー本位の設計思想を体現した一台である。動力源には、メルセデスAMG(ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州アファルターバッハ)が専用に開発した6リットルV12ツインターボエンジン「Pagani V12」を搭載し、これにカスタム仕様のXtrac製7速トランスミッションが組み合わされる。このトランスミッションは、自動変速と手動変速の両仕様が用意され、パワートレインの組み合わせは卓越した操作性と応答性を実現すると同時に、カリフォルニアを含む世界各国の厳格な排出ガス基準をクリアしている。
Utopiaに30%排熱性能向上の熱交換器を採用
Utopiaの極限的なパワーと柔軟性は、とりわけトランスミッションオイル領域において、高度な熱マネジメントソリューションを必要としていた。この課題に対応するため、PaganiとConfluxは、最先端の積層造形(AM)技術を活用した専用の熱交換器を共同開発した。Confluxは従来のソリューションと比べて30%の排熱性能向上を実現し、過酷な条件下においても最適な熱性能を確保している。Utopiaのトランスミッションは、サーキットや公道での実走テスト、熱衝撃試験などの厳格な検証を経て、その耐久性とハイパーカーとしての信頼性を証明した。この協業により、エンジニアリングの創意工夫とドライビングプレジャーの両立が実現されている。
また、このトランスミッションを開発・製造した英国Xtrac社にとっても、モータースポーツ由来の「軽量かつ高性能」という設計哲学を維持しながら、性能の限界をさらに引き上げる成果につながっている。
細部へのこだわりが生んだ熱性能
Confluxの先進的な熱交換技術により、Utopiaは過酷な走行条件下でも優れた排熱性能を発揮し、最適な熱バランスを維持することが可能となった。Paganiは完璧を追求する設計思想のもと、細部に至るまでのこだわりを徹底しており、Confluxのカートリッジ式熱交換器はその理念に合致する存在である。この熱交換器は、ロマンチックな海岸沿いのドライブから過酷なサーキット走行に至るまで、Utopiaの全シーンでの快適性と性能を支えている。
Conflux、CPS開発を加速し多分野展開へ
今回のPaganiとの協業は、Confluxがハイパーカー業界における地位をさらに強固にし、最先端の熱ソリューションを提供する技術力と、持続可能性目標の推進力を改めて示すものである。Confluxは、直近で1,100万豪ドル(約10億5,000万円)規模のシリーズB資金調達を実施しており、自社の「Conflux Production System(CPS)」の開発を加速させている。今後は、航空宇宙、モータースポーツ、高出力産業機械、防衛など、複数分野における高性能熱管理ニーズへの対応を強化していく構えである。
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