ラコステ×アルピーヌ、3Dプリント部品を採用した「A290 Rallye」ワンオフモデルを発表

2026年8月18日
出典:Lacoste、Alpine
出典:Lacoste、Alpine

フランスのファッションブランド「Lacoste(ラコステ)」と自動車ブランド「Alpine(アルピーヌ)」は、両ブランドのコラボレーションによるワンオフモデル「Beware of the Crocodile – Alpine Lacoste A290 Rallye」を発表した。ラリー競技向け電気自動車「A290 Rallye」をベースに、ラコステの世界観を取り入れたモデルで、車内のラリーシートにはERPROが3Dプリントで製造した部品を採用。ラティス構造によって軽量性、快適性、性能の両立を図っている。

競技用EV「A290 Rallye」をベースにしたワンオフモデル

今回のコラボレーションは、ラコステ創業者のルネ・ラコステと、アルピーヌ創業者のジャン・レデレが共有していた「パフォーマンス」「エレガンス」「軽量性」へのこだわりを現代的に表現するプロジェクトとして企画された。

その中心となるのが、「Beware of the Crocodile – Alpine Lacoste A290 Rallye」である。

ベース車両には、アルピーヌの電動ホットハッチ「A290」の競技仕様である「A290 Rallye」を採用した。A290 Rallyeはカスタマーレーシング向けに開発された電動ラリーカーで、専用サスペンションや強化ブレーキ、ワイドトレッド、競技向けの電子制御などを備える。

今回のワンオフモデルでは、単にラコステのカラーやロゴを加えるだけではなく、競技車両としての技術的な基盤を維持しながら、両社のデザインチームとエンジニアリングチームが車両全体を再構築した。

エクステリアには、ワイド化されたトレッドや大型スポイラー、ディフューザー、ルーフ上のエアインテーク、露出したカーボンパーツなどを採用。ボディカラーにはアルプスの雪や氷、霜をイメージした青みがかったホワイトを採用している。

また、ラコステを象徴するクロコダイルの「赤い舌」をデザインコンセプトの起点とし、車内は鮮烈な赤を基調とした空間に仕上げられた。車両全体には、モデル名の「A290」にちなんで合計290匹のクロコダイルがデザインに組み込まれている。

ERPROがラリーシート部品を3Dプリント

3Dプリント技術が使われているのが、車内に搭載されたラリーシートである。

ラリーシートの一部には、フランスのAM(Additive Manufacturing:積層造形)企業ERPROが3Dプリントで製造した部品を採用した。3Dプリントの特徴を生かしたラティス構造を取り入れることで、軽量性、快適性、性能を組み合わせたシート構造を実現している。

ラティス構造とは、格子状の内部構造によって必要な強度や剛性を確保しながら、材料使用量や重量を抑える設計手法である。従来の製造方法では複雑になりやすい形状も、3Dプリントであれば一体的に製造しやすいという特徴がある。

特にラリー競技では、車両重量のわずかな違いが加速や旋回、ブレーキングなどに影響するため、部品の軽量化は重要なテーマとなる。同時にドライバーを支えるシートには、剛性や身体へのフィット性、長時間の運転を考慮した快適性も求められる。

今回のシート部品では、3Dプリントによるラティス構造を利用することで、こうした複数の要求を一つの構造設計の中で両立させることを狙っている。

なお、ラコステを象徴する「プチ・ピケ」素材もシートやドアパネルに使用されており、ラコステのポロシャツに使われるクロコダイル刺繍などを手掛ける歴史ある工房Potencierが刺繍を担当した。

自動車分野で広がる3Dプリントとラティス構造

自動車分野における3Dプリントの用途は、試作品や治具から、最終製品として使用される部品へと広がっている。なかでもラティス構造は、軽量化と機械的特性の調整を同時に行えることから、モータースポーツや高性能車との相性がよい。

今回のAlpine Lacoste A290 Rallyeでも、3Dプリントは単なるデザイン表現のためではなく、車両の軽量化と機能最適化という明確な目的のために採用されている。

ラコステとアルピーヌは今回のワンオフモデルに加え、ポロシャツ、Tシャツ、テクニカルウェア、アクセサリーなどで構成されるカプセルコレクションも発表した。ファッションとモータースポーツという異なる分野を結び付けながら、軽量性や機能性という共通する設計思想を表現している。

シェアラボ編集部コメント

今回の事例で興味深いのは、3Dプリント部品が目立つ外装パーツではなく、ラリーシートの一部に採用されている点である。

3Dプリントとラティス構造の組み合わせは、単純な軽量化だけでなく、場所によって硬さや変形特性を変えるなど、従来とは異なる部品設計を可能にする。シートやクッション、ヘッドレストといった人体と直接接触する部品は、その特徴を生かしやすい用途の一つだ。

今回発表された車両はワンオフモデルではあるものの、モータースポーツのように軽量化と性能が強く求められる分野で3Dプリント部品が採用されることは、AMの実用品への展開を考えるうえでも注目したい事例である。

用語解説

ラティス構造とは
格子状や網目状に配置された内部構造のこと。3Dプリントでは複雑なラティス形状を造形しやすく、必要な強度や剛性を維持しながら材料使用量や重量を抑えられる。自動車、航空宇宙、スポーツ用品、医療など、軽量化と性能の両立が求められる分野で活用されている。
ERPROとは
フランスを拠点にAM(Additive Manufacturing:積層造形)や3Dプリントを活用した製造サービスを展開する企業。試作から量産まで幅広い用途に対応し、自動車をはじめとする産業向けの3Dプリント部品製造を手掛けている。今回のAlpine Lacoste A290 Rallyeでは、ラリーシートに使用される3Dプリント部品を製造した。
Alpine A290 Rallyeとは
アルピーヌがカスタマーレーシング向けに開発した電動ラリーカー。電動ホットハッチ「A290」をベースに、ラリー競技向けのサスペンション、強化ブレーキ、ワイドトレッド、専用の電子制御などを採用している。「Beware of the Crocodile – Alpine Lacoste A290 Rallye」は、この競技車両をベースに製作されたワンオフモデルである。

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