C2iと日立、香港初の自動オルガノイド培養システムを発表、3Dプリント気道オルガノイドにおける新たな連携も始動

2025年7月24日
意向書(Letter of Intent)発表の様子。左から順に:Cyfuse CEO 秋枝静香氏、C2iTech CEO マイケル・チャン教授、Hitachi Global Life Solutions ゼネラルマネージャー 佐藤祐一氏。

香港に拠点を置くCentre for Immunology & Infection Limited(以下、C2i)およびその傘下のC2iTechは、2023年に締結されたパートナーシップを基盤に、Hitachi East Asia Limited(香港、以下、日立)との連携をさらに深めている。さらに今回、日本の3Dバイオプリンティング技術に強みを持つCyfuse Biomedical(東京都文京区、以下、サイフューズ)も新たに加わり、三者は再生医療・個別化医療の分野におけるイノベーションを共同で推進している。(上部画像は意向書発表の様子。出典:C2i)

3Dプリント技術で気道オルガノイドの臨床応用を加速

C2iTech、日立、そして日本の3Dバイオプリント技術を有するサイフューズの三者は、個別化気道オルガノイド(オルガノイドとは試験管の中で幹細胞から作るミニチュアの臓器)の臨床応用を見据えた協業に関する意向書を締結した。署名は、C2iTech CEOマイケル・チャン教授、サイフューズ CEO秋枝静香氏、ならびに日立グローバルライフソリューションズの佐藤祐一ゼネラルマネージャーによって行われた。

本協業の目的は、3Dプリンティング技術を活用して、移植可能な気道オルガノイドの開発を加速させることにある。各企業の持つ技術と知見を融合することで、患者の予後を改善し、従来にない革新的な治療選択肢の実現を目指す。

自動細胞培養とIoT活用で再生医療の高度化を推進

同システムの初公開デモンストレーションは、C2iのマネージングディレクターであるレオ・プーン教授、およびマイケル・チャン教授の監督のもとで行われた。プーン教授は、この装置について「オルガノイドの量産化に向けたスケーラビリティと標準化を実現する革新的なステップである」と評価している。

さらに、日立の津月直子マネージングディレクターは、「香港初の自動細胞培養施設およびIoTデータレイクが日立のソリューションにより実現されたことを誇りに思う」と述べており、「この施設はOneHitachiによるIoT技術を活用し、再生医療の製造工程を24時間365日体制で遠隔監視しながら運用できる。これにより、業界における最高水準の品質管理が可能となる」と強調した。

オルガノイド開発の完全自動化へ!再生医療と創薬研究を加速

現在、このオルガノイド開発の自動化技術をさらに発展させるべく、次なるフェーズへと進んでいる。今後は、臨床検体からのヒト幹細胞の自動分離や、オルガノイドの継代培養、さらにはメンテナンス工程の完全自動化を段階的に進める計画である。

C2iの新施設における自動オルガノイド培養装置の稼働開始を祝うテープカットセレモニー
C2iの新施設における自動オルガノイド培養装置の稼働開始を祝うテープカットセレモニー。(出典:C2i)

これらの技術革新は、創薬、個別化医療、再生医療の分野における研究の効率化をもたらし、大規模かつ高再現性な実験の実施を可能とする。複雑なプロセスを自動化することで、疾患メカニズムの理解や新規治療法の開発にも大きく寄与することが期待されている。

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