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日本のものづくりを支える歴史ある大河内賞でAM技術の受賞

公益財団法人 大河内記念会Webサイト、ニュースページより。

日本の生産技術分野における「大河内賞」は、1954年の創設以来、優れた技術革新を成し遂げた研究者や企業を顕彰し、日本のものづくりの発展に寄与してきた。そして、第71回(令和6年度)では、AM技術を活用した整形外科デバイスの開発が受賞し、積層造形技術の産業界における重要性が改めて示された。(上部画像は公益財団法人 大河内記念会Webサイト、ニュースページより。出典:大河内記念会)

日本のものづくりを支える大河内賞大河内記念技術賞)

今回、受賞した大河内賞(大河内記念技術賞)は、日本の生産工学・生産技術分野において卓越した業績をあげた研究者や企業に贈られる、極めて権威ある賞である。この賞は、旧財団法人理化学研究所の第三代所長であった大河内正敏博士の功績を記念し、1954年(昭和29年)に設立された。70年以上にわたり、優れた生産技術の開発に貢献した個人や団体を顕彰し、日本のものづくりの発展を支えてきた。

大河内賞にはいくつかの部門があり、本記事で紹介している大河内記念技術賞をはじめとして、大河内記念賞、大河内記念生産賞などが存在する。受賞者には、賞状や賞牌、副賞金が贈られ、受賞業績は日本の産業界における重要な技術革新として広く認知される。

AM技術を活用した整形外科デバイスが大河内記念技術賞を受賞

今回の第71回(令和6年度)の大河内記念技術賞「高強度配向骨の誘導による積層造形整形外科デバイスの付加価値向上と製品化」は、帝人ナカシマメディカル株式会社(岡山県岡山市)と大阪大学(大阪府吹田市)の研究者によって開発され、整形外科デバイスの性能向上を目的としている。金属積層造形技術を活用し、骨の配向を高強度に制御することで、従来の製品よりも生体適合性に優れた医療機器を開発することに成功。AM技術を駆使することで、より患者の負担が少ない治療が可能となり、整形外科分野において新たな可能性を開くものとなっている。

シェアラボニュースで過去に取り上げた下記のニュースも併せてご覧いただきたい。

大河内正敏博士と生産技術振興の理念

大河内正敏博士(1878-1952)は、日本の工業技術発展に多大な貢献を果たした科学者であり、実業家でもあった。東京帝国大学(現・東京大学)を卒業後、物理化学の研究に従事し、理化学研究所の所長として日本の科学技術振興に尽力した。

大河内正敏博士は「生産のための科学技術」の重要性を唱え、理論だけでなく実際の産業応用を重視した。この理念のもと、大河内賞は設立され、日本の製造業における技術革新を促進する役割を担っている。

大河内賞の歴史とAM技術の未来への期待

受賞業績には、半導体技術、医療機器、化学工業、自動車産業など、多岐にわたる分野が含まれる。特に近年では、デジタル技術やAI、AM技術の進化に伴い、それらを活用した新しい製造技術が表彰されることが増えている。

今回の受賞においても、AM技術を活用した整形外科デバイスの開発が選ばれるなど、AM技術が日本の産業界において重要な位置を占めつつあることが明確になった。これは、従来の製造法では実現が難しかった高性能・高精度な部品を生み出すAM技術の有用性が認められている証拠であり、今後の発展が期待される分野である。

今後も、日本の技術革新を牽引し、ものづくりの未来を切り拓く重要な役割を果たしていくであろう。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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