エイチタス株式会社は、特定非営利活動法人ICTリハビリテーション研究会と連携し、「3Dプリント自助具デザインコンテスト2026」の開催に向けたクラウドファンディングを開始した。支援募集は2026年4月15日11時より開始され、クラウドファンディングサービス「READYFOR」にて実施されている。本コンテストは、障害者や高齢者、子どもの日常生活を支える「自助具」のデザインを広く募集し、その成果を3Dデータとして共有する取り組みである。個別のニーズに対応する道具を低コストで提供できる仕組みを構築することを目的としている。
目次
個別最適な自助具を低コストで実現する取り組み
従来、オーダーメイドの自助具は高額かつ製作に時間を要するため、多くの利用者が導入を断念してきた。一方で、ICTリハビリテーション研究会は3Dプリンターを活用し、材料費約100円程度で個人に適した道具を製作する活動を展開している。こうした取り組みは、TBS「news23」での特集や、科学技術振興機構(JST)主催「STI for SDGs」アワード理事長賞の受賞などを通じて評価を受けている。
デジタル図書館「COCRE HUB」で世界に共有
コンテストで集まる応募作品は、医療・技術の専門家による安全性および耐久性の審査を経て、デジタル図書館「COCRE HUB」に登録される。毎年60〜80件の応募があり、現在は300種類以上の自助具データが公開されている。同プラットフォームは、世界中のユーザーが自分に適した自助具を安価に入手できる環境を提供するものであり、JICAやアジア開発銀行(ADB)を通じたブータンやネパールでの支援活動でも活用されている。今回のコンテストでは、データ数を1,000種類規模まで拡張し、グローバルに利用可能な基盤としての整備を目指す。
国際展開も進む自助具3Dプリントの活用
ICTリハビリテーション研究会は、JICA短期専門家としての海外派遣や、フランス団体との共同イベント「FABRIKARIUM TOKYO」の開催など、国際的な活動も展開している。国内で蓄積された設計データを海外へ展開するだけでなく、海外の知見を日本へ還元する取り組みも進められており、3Dプリントを活用した福祉分野の技術交流が広がりつつある。
クラウドファンディング概要
本プロジェクトは、2023年から継続している同コンテストの2026年度運営資金を募るものである。目標金額は50万円で、All-or-Nothing方式を採用しているため、目標未達の場合は資金を受け取ることができない。資金はコンテスト運営費、応募データの安全性検証・整備費、COCRE HUBの維持費に充てられる。主なリターンとして、活動報告書(5,000円)、事例集冊子(10,000円)、自助具サンプル(50,000円)、審査会特別傍聴権およびクレジット掲載(100,000円)が用意されている。
編集部コメント
3Dプリントによる自助具は、これまで「個別対応が難しい領域」を現実的なコストで解決できる数少ないユースケースである。特に重要なのは、単発の製作ではなく「データとして蓄積・共有される仕組み」を持っている点だ。COCRE HUBのようなプラットフォームが拡張されれば、現場の工夫が再利用可能な資産として循環し、結果的に製造業的な視点でも価値のあるデータ基盤となる。量産ではなく「分散生産」と「ローカル最適」を前提としたモデルとして、今後の広がりに注目したい。
用語解説
| ■ 自助具 障害者や高齢者が日常生活を自立して行うために使用する補助器具のこと。個々の身体状況に応じて形状や機能が大きく異なるため、本来は個別設計が求められる領域である。 |
| ■ COCRE HUB ICTリハビリテーション研究会が運営する自助具の3Dデータ共有プラットフォーム。誰もがデータをダウンロードして3Dプリントできる仕組みを提供し、低コストでの福祉機器普及を目指している。 |
| ■ All-or-Nothing方式 クラウドファンディングの形式の一つで、設定された目標金額に達成した場合のみ資金を受け取ることができる仕組み。未達の場合は支援金は返金される。 |
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