一般社団法人日本3D教育協会(東京都港区)は、3Dプリンターをはじめとする最新デジタル技術と海洋研究を融合させた教育プログラム「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」第5期生の入学式および第1回授業を開催した。本プロジェクトは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、次世代に海の価値を伝えると同時に、最先端の3D技術を活用できる人材を育成することを目的に実施されている。(上部画像はソーシャルアクションネットワークのプレスリリースより。出典:ソーシャルアクションネットワーク)
目次
過去最難関を突破した11名が集結
今年度は全国から多数の応募が寄せられ、11名の募集枠に対して過去最難関の選考を経た中学生が選抜された。入学式では研究生同士が自己紹介を行い、3D技術と海洋研究を学ぶ仲間としての一歩を踏み出した。
今後、生徒たちは高知県での合宿に参加し、3Dプリンターを駆使した本格的な研究活動を開始する。
AI時代に求められる創造力を3D技術で育む
現代はAIの進化が加速し、問題発見から仮説検証、価値創造までを担える力が求められている。本プロジェクトでは、各研究生が特定の海洋生物をテーマに研究を進め、その過程でCTスキャンや3Dモデリング、さらにはフルカラー3Dプリンターを用いた立体的な再現に挑戦する。
目に見えない生体構造や複雑な形態を精緻に可視化でき、従来の観察を超えた理解を可能にしている。学習手法としては「反転学習」や「協働学習」を採用し、研究成果を形にするプロセスに重点が置かれている。
3Dプリンター企業の協賛による支援
研究活動には協賛企業が参画し、最新の3Dプリンターやソフトウェア環境を提供している。生徒たちは産業界で用いられている先端機材に触れながら学ぶことができ、教育と実社会の橋渡しが図られている。
3Dと海洋の基礎を学ぶ
入学式後には、3D主任講師の吉本大輝氏による基礎授業が行われ、3Dプリンターの仕組みや素材・精度の違いについて解説。実際に3Dプリンターで造形された作品に触れることで、生徒たちは技術の可能性を体感した。

続いて、宮崎大学の緒方悠輝也氏が海洋研究の基礎を講義。論文作成の方法やフィールドワーク経験を交え、「好きを極めることの大切さ」を強調した。生徒たちからの鋭い質問に驚く場面もあり、学びへの熱意が示された。

今後の展開
研究生は高知県大月町での実習合宿に参加。黒潮生物研究所を拠点に、海洋生物を観察・分析し、3Dプリンターを使った再現やデータ化に取り組む。3Dプリンターで生み出される立体データは、研究成果の可視化だけでなく、教育資源や次世代研究への基盤としても活用される予定だ。
教育の関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。